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安居院流

提供: 新纂浄土宗大辞典

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あぐいりゅう/安居院流

唱導の流派。現在の京都市上京区にあった安居院には、平安末期に説教の名手として名高い澄憲ちょうけんが住し、実子の聖覚、孫の隆承らが血統相続して、代々能説者を輩出したので、一門の呼称となった。澄憲の祖父は、『江談抄』の筆録者として知られる藤原実兼、父は『通憲入道蔵書目録』で知られる藤原通憲(信西)である。澄憲聖覚父子らによる積極的な唱導は、『言泉集』『釈門秘鑰ひやく』『澄憲作文集』『澄憲表白集』『転法輪鈔』など、おびただしい著作類にうかがうことができる。これらの多くは、経論・漢詩文から唱導に適した文言を摘記した要文集であり、表白願文など実作する際の参考のための実用書であった。当時の唱導家は、四六騈儷文しろくべんれいぶんを効果的に用い、律動感があり聴衆の耳に心地よい文章を作成することに腐心していたさまがうかがえる。南北朝期の『神道集』には「安居院作」とあり、同流派との関連性が想定されるが詳細は未詳である。


【参照項目】➡安居院澄憲聖覚


【執筆者:吉原浩人】