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八解脱

提供: 新纂浄土宗大辞典

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はちげだつ/八解脱

八種類の解脱のこと。Ⓢaṣṭau vimokṣāḥなどの訳語。『瑜伽論』一一によれば、①有色観諸色解脱不浄観を行って自らの貪が起こらなくなった境地)、②内無色想観外諸色解脱(さらに進んで不浄観を行い、貪が確実に起こらなくなった境地)、③浄解脱身作証具足解脱清浄なるものを見ても、貪が全く起こらなくなった境地)、④空無辺処解脱(物質に対する想いを超えて、空無辺処を得た境地)、⑤識無辺処解脱(空無辺処を超えて、識無辺処を得た境地)、⑥無所有解脱(識無辺処を超えて、無所有処を得た境地)、⑦非想非非想処解脱無所有処を超えて、非想非非想処を得た境地)、⑧想受滅身作証具足解脱(非想非非想処を超えて、想受滅、すなわち滅尽定を得た境地)の八種の解脱のこと。この八種の解脱は訳語にこそ若干の不一致がみられるが、多くの経論に説かれる。また『観経』には「時に応じてすなわち阿羅漢道を得、三明六通さんみょうろくつうあって、八解脱を具す」(聖典一・三〇九/浄全一・四八)とあるが、この表現は阿羅漢になった者に対して用いられ、仏典に広く確認できるものである。


【資料】『俱舎論記』二九


【参照項目】➡解脱三明六神通


【執筆者:石田一裕】