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五会法事讃

提供: 新纂浄土宗大辞典

ごえほうじさん/五会法事讃

台山や太原、そして長安などで活躍した中唐の法照によって創始された法事儀礼。五会とは五会念仏のことであり、『無量寿経』にある「清風、時に発って、五音の声を出だす。微妙の宮商、自然に相い和せり」(聖典一・二四〇/浄全一・一五)、「普く宝樹を吹いて、五音の声を出だし」(聖典一・二五七/浄全一・二二)にもとづき定められた念仏の唱法。すなわち五段階に緩急をつけた念仏を称えることで、第一会から第四会までは「南無阿弥陀仏」を次第に速めて称えてゆき、第五会では「阿弥陀仏」だけをより速く称えることである。この五会の念仏を中心にしつつ、経典を読誦し、仏菩薩浄土讃歎し、回向するなど、十門に分類した上でなされる一連の法事五会法事讃である。この儀式の次第については、法照の『浄土五会念仏誦経観行儀』三巻、および『浄土五会念仏略法事儀讃』一巻(または二巻)によって知ることができる。法照行者菩提心を発して生死を厭い、無常を観じて精進し、浄土往生することができるように願って法事儀礼を組成させた。敦煌石室からは改訂された本書の各種テキストが発見されており、そこからは唐代の浄土教儀礼の盛行ぶりをうかがうことができる。また円仁法照の『浄土五会念仏略法事儀讃』を将来するとともに、比叡山に五台山念仏五会念仏)を伝えている。


【参考】塚本善隆『唐中期の浄土教—法照の研究—』(東方文化研究所京都、一九三三)


【参照項目】➡法照五会念仏浄土五会念仏誦経観行儀浄土五会念仏略法事儀讃


【執筆者:齊藤隆信】


浄土五会念仏略法事儀讃(じょうどごえねんぶつりゃくほうじぎさん)