羅漢像
提供: 新纂浄土宗大辞典
らかんぞう/羅漢像
羅漢を象った彫刻・絵画。羅漢とはサンスクリット語アルハン(Ⓢarhan)の音写である阿羅漢の略称。本来は仏陀自体を意味するが、狭義には悟りに至ったもの、出家者の最高位の聖者を意味する。一般的には釈尊滅後、弥勒の下生にいたる仏不在の時代に衆生を導くとされる一六人の高僧(十六羅漢)たちが有名である。数が増加して十八羅漢や五百羅漢と呼ばれるものも存在する。剃髪した比丘形で絵画・彫刻等に表される。インドでは仏弟子・比丘の作例は見られるが、一般的な羅漢像は見られない。中国では南北朝時代に既に造型化され始めたが、日本では平安時代から絵画資料が遺され、京都・浄瑠璃寺三重塔の壁画(国重要文化財)などが著名である。中国では禅月様・李龍眠様など魁偉な表現の新様式が生まれ、禅宗の普及とともに日本へも伝えられた。京都・清凉寺所蔵の十六羅漢像(国宝)は北宋期の名画として知られるが、もと一八幅あったことが判明しており、また焼失を伝える記事が見えるなど伝来にも不明な点が多い。制作年代に関しても議論がある。
【執筆者:近藤謙】