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悟り

提供: 新纂浄土宗大辞典

さとり/悟り

(真理に)目覚めること、あるいは(真理に)目覚めることで無明がなくなった状態。ⓈⓅbodhi。「菩提」と同義。「覚り」とも書く。動詞√budh(目覚める)から作られた名詞である。またこの同じ動詞の派生語が「仏陀ⓈⓅbuddha」であり、「目覚めた人」を意味する。仏教仏陀の教え、すなわち目覚めた人の教えであるから、仏教という宗教の本質はこの「目覚め」にある。つまり仏教とは「自覚の宗教」「覚醒の宗教」とも定義できよう。常人は夢から覚めて現実を認識するが、仏陀は常人が現実と考えている状態から覚醒して、真理の世界に悟入する。ひとたび真理の世界に悟入すれば、それまで現実と考えていた世界が夢のように感じられるのである。聖道門では自力修行して真理に目覚めることを目指す。他力を強調する浄土門でも、この目覚めや覚醒の感覚は重視されるが、目覚める対象は「真理」ではなく、「自力の限界」つまり「愚者の自覚」である。


【参照項目】➡菩提


【執筆者:平岡聡】