当麻曼陀羅疏
提供: 新纂浄土宗大辞典
たいままんだらしょ/当麻曼陀羅疏
四八巻。聖聡述。慶竺筆。當麻寺の観経曼陀羅の注釈書。本書成立の契機は、聖聡が応永三四年(一四二七)四月、吉野山に詣でたおり、當麻寺に伝わる曼陀羅(原本と第一転写本の二本)を拝したことに始まる。その後、聖聡は、元興寺の智光曼陀羅、超昇寺の清海曼陀羅を拝し、曼陀羅研究を重ねている。その成果として著されたのが本書であり、基本的には『観経疏』によって解釈を加えているが、講義を採録した体裁を持つ本書には、様々な経論の引用や説話の採用など、絵解きのための工夫が多くなされている。特に本書にある当麻・智光・清海を浄土三曼陀羅とし、中将姫伝説を用いながら解き明かす方法は、浄土曼陀羅解説の雛形になったという。
【所収】浄全一三
【参考】石上善應「当麻曼陀羅疏」(『聖聡上人典籍研究』山喜房仏書林、一九八九)
【執筆者:東海林良昌】