九条袈裟
提供: 新纂浄土宗大辞典
くじょうげさ/九条袈裟
三衣の中の大衣(僧伽梨)のうち、最も条数の少ない袈裟。僧伽梨は二一条以上を上品、一九条から一五条までを中品、一三条以下を下品に分け、下品の僧伽梨は二長一短を制式とするが、知恩院御忌伝衣など、三長一短の九条も多く見られる。壊色と顕色があり、壊色は如法衣と同じく長方形、顕色は上部の両浄端または一端を反った形に作るものが多い。顕色九条は荘厳衣(顕色七条)とは異なり、環が右浄端から全幅の三分の一ほど中央寄りの位置に付くため、環から右浄端までの二条ほどを折り畳んで、左腕へ掛けるようにして被着する。この二条部分を分けて別に仕立てたものが七九条袈裟である。浄土宗の本山に伝わる由緒ある九条袈裟には、重源が宋から請来したとされる霊巌遺品の「知恩院御忌伝衣」や、聖光から良忠、良忠から良暁へと譲られた光明寺伝衣の「伝南岳大師竹布九条袈裟」などがある。
【資料】『薩婆多毘尼毘婆沙』四(正蔵二三・五二七中)、元照『仏制比丘六物図』(正蔵四五・八九八下)【図版】巻末付録
【執筆者:熊井康雄】