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阿弥陀悔過

提供: 新纂浄土宗大辞典

あみだけか/阿弥陀悔過

阿弥陀仏に罪過を懺悔する法会修正会に行う悔過法要の一種。すべての人々の過ちを一身に担って本尊の前で悔過懺悔して心身清浄になり、改めて仏・菩薩の加護を祈願する天台宗法要本尊によって、薬師悔過やくしけか吉祥悔過きっしょうけかなどといい、「お水取り」と称する東大寺修二会の法儀は十一面観音悔過という。悔過法要は迎春の祈願法要として厳修されるが、民俗行事と融合した伝統行事となっていることが多い。この悔過には二系統があり、「古式の常行三昧」と欣求浄土の理念から定善散善を主として構成されたものとがある。天台宗勝林院では、修正会(正月三日)に後者の意味合いをもつ阿弥陀悔過が行われている。本尊阿弥陀仏とその荘厳などを讃歎しつつ懺悔礼拝をして罪障の消滅を乞う称名悔過を行い、諸尊を敬礼して諸願成就を祈願すると、勝林院村の宮座の若連中が太鼓と鉦の音に合わせて、柳の枝とささらを持って床を叩きながら本堂を走り回る「三十三度」という悪霊払いの行事が行われる。そして悔過の中心であるおおい懺悔などをして加持牛王ごおうが行われる。正倉院文書に「阿弥陀悔過資材帳」があることから、天平一三年(七四一)に東大寺阿弥陀堂でも悔過が行われていたことが知られる。


【参考】佐藤道子『悔過会と芸能』(法蔵館、二〇〇二)


【執筆者:西城宗隆】