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開題考文抄

提供: 新纂浄土宗大辞典

かいだいこうもんしょう/開題考文抄

三巻。良山妙観述。貞和五年(一三四九)五月作。名越派伝書の一つ。『選択集』の最初に述べられている聖道浄土二門の文意について解説した名越派口伝で、良慶明心の著書『口伝題下』を注釈したもの。元亨四年(一三二四)春、筑紫の修行者が明心のもとを訪れ、二祖聖光から相伝した『授手印』を示した。明心はそれを借覧して妙観に書写させ、かつ『授手印』を講説した。それを筆録したものが『口伝題下』である。本書の上・中巻では、聖道門諸宗の綱領とこれら所説の教理は深遠であるが末世の衆生にとっては難解で証を得ることは極めて困難であることを明かし、下巻では善導法然聖光良忠相伝する説を挙げ、『口伝題下』の文を提示しながら浄土門の易義を示している。また奥書には、妙観明心から口授された様子や明心の出自が述べられるなど、浄土宗史上も重要である。


【所収】続浄一〇


【参考】玉山成元「名越派とその叢書 解説」(続浄一〇)


【参照項目】➡口伝題下


【執筆者:𠮷水成正】