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衣体

提供: 新纂浄土宗大辞典

えたい/衣体

法会で被着する法衣執持物の総称。衣帯とも書く。本来は法衣の素材であり、法衣の服制であった。これが転じて、法会での導師式衆などの職務によって被着すべき衣などの種類(法服と副具)を指すようになった。知恩院の『御忌大会法則』では「衣帯」としている。唱讃導師の衣帯は、「七九条、紫衣道具衣)、領帽りょうぼう差貫さしぬき水冠荘厳念珠(白房)、坐具香筥こうばこ」とあり、また中啓は金銀無柄、領帽は外掛なども指摘している。仙祐『比丘六物ろくもつ図私抄』上には、「衣財の体を定むるに、律の中に絹布の二物に通ず」(仏全七四・一九下)とあり、衣体は衣の財体(材料)の意であった。「老中連署諸宗寺院下知状」(寛文五年〔一六六五〕)には、「僧侶衣体、その分際に応じてこれを著すべし」(『増上寺史料集』一・一四九)とある。また「山内所化掟書」(元禄元年〔一六八八〕)には、「衣体の儀、老若共、分際相応に着用致すべきの事、尤も若輩の僧、絹衣着さず様、連々風俗相たしなむべきの事」(「山門通規」一・一五〔『増上寺史料集』三・一四〕)とある。「衣体条例」(享保一九年〔一七三四〕)には、衣体改は夏安居げあんご入りの四月一五日よりとし、また「一文字衆衣体条例」(『増上寺史料集』一・五一六)を制定し、衣体は素材から服制の意になった。『現行制規要集』(大正一〇年〔一九二一〕)には、その僧階に応じて袈裟修多羅・衣・袴・冠の製式と色を制定していた(第一四編服制、宗規法服条例、二九七)。現行の「僧侶分限規程」は服制であって、僧階による法衣の色のみを制定している(第四四条、被着法服)。


【参照項目】➡法服法袈裟


【執筆者:羽田芳隆】