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虚仮

提供: 新纂浄土宗大辞典

こけ/虚仮

物事が虚妄であること、または内心と外相が相違している状態、すなわち真実でないことをいう。浄土宗においてはとくに後者の意をとる。善導は『観経疏散善義、至誠心釈において「外、賢善精進の相を現じ、内、虚仮を懐くことを得ざれ。貪瞋邪偽奸詐百端とんじんじゃぎかんさひゃくたんにして、悪性め難く、事蛇蝎だかつに同じきは、三業を起すといえども名づけて雑毒の善とし、また虚仮の行と名づく。真実の業と名づけず」(聖典二・二八八/浄全二・五五下)と述べ、外面的に賢善精進の行いであると見えていても、内面に虚仮を懐いていれば、それは雑毒の善であり、虚仮の行であるとしている。また法然は『選択集』八において上記の文を釈して「外相と内心と調わざる意なり」(聖典三・一五二)と述べている。


【資料】良忠『伝通記』一三、『決疑鈔』四


【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九五九)


【参照項目】➡虚仮心虚仮念仏至誠心


【執筆者:沼倉雄人】