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畜生回向文

提供: 新纂浄土宗大辞典

ちくしょうえこうもん/畜生回向文

動物供養回向文。「若有畜生にゃくうちくしょうるい 弥陀名号もんみだみょうごう 永離三悪道ようりさんなくどう 決定成菩提けつじょうじょうぼだい」。『諸回向宝鑑』二(二七ウ)に出る。もし畜生などが阿弥陀仏名号を聞いたならば、永遠に地獄餓鬼畜生道を離れて、必ず菩提を成ずることができるの意。ペット供養などのときに用いる。『法要集』(平成二年版)の「差定・偈文・表白宣疏の部」に初出した。『一切智光明仙人慈心因縁不食肉経』には、「若有畜生類 得聞諸仏名 永離三悪道 不生八難処」(正蔵三・四五八中)とある。『声明集』(天和三年〔一六八三〕)には「畜生成仏文」、『諸回向宝鑑』二(二七ウ)には、「畜生を見て回向すべき文」とある。また『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下(四六ウ)には「畜生回向」として、「若見牛馬猪羊にゃくけんごめちょよう 一切畜生いっさいちくしょう 応心念口言おうしんねんくごん 汝是畜生にょぜちくしょう 発菩提心ほつぼだいしん」を挙げている。これは『梵網菩薩戒経』(正蔵二四・一〇〇九上)に出る。もし牛・馬・猪・羊などのすべての動物を見たならば、心に念じて、口に汝ら動物、菩提心を発せと唱えよの意。家畜回向のときに用いた。


【参照項目】➡畜生


【執筆者:西城宗隆】