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無記

提供: 新纂浄土宗大辞典

むき/無記

質問に対して回答を与えず、肯定も否定もしないこと、また「その質問には答えるべきでない」と言うこと。特に釈尊が肯定も否定もしなかった一四の質問を「十四無記」あるいは「十四不可記」という。この一四は捨置記の問、つまり答えずに捨て置く質問、とされる。すなわち、世間は①永遠(常)か、②無常か、③常であり無常でもあるか、④常でも無常でもないのか。世間に⑤限りはある(有辺)か、⑥限りはない(無辺)か、⑦有辺であり無辺でもあるか、⑧有辺でも無辺でもないか。如来は死後⑨存在する(有)か、⑩存在しない(無)か、⑪有であり無でもあるか、⑫有でも無でもないか。命と身は⑬同じか、⑭異なるか、の一四の質問である。


【執筆者:石田一裕】


善でも不善でもないもの。また善悪の果報を招かないもの。Ⓢavyākṛta。『俱舎論』では「記して善・不善の性と為すべからざるが故に無記と名づく」(正蔵二九・七中)といい、また「異熟果を記することあたわざるが故に無記と名づく」()という。無記には有覆無記と無覆無記の二つがある。有覆無記とは、果報はもたらさないが覚りへの道(聖道)を覆う汚れた無記である。一方、無覆無記とは、果報ももたらさず、聖道を覆うこともない清浄なる無記であり、浄無記ともいわれる。


【執筆者:石田一裕】