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俱舎論

提供: 新纂浄土宗大辞典

くしゃろん/俱舎論

三〇巻。正式名称は『阿毘達磨俱舎論』。ⓈAbhidharmakośa。世親造、玄奘訳。四、五世紀頃の成立。異訳として真諦訳『阿毘達磨俱舎釈論』二二巻がある。全体は八章よりなり、説一切有部の教義を体系的に論述している。本書は、その註釈書がインド、中国、チベット、日本において著されており、仏教史上に大きな影響を残した典籍である。日本においては『俱舎論』と、その注釈書である普光『俱舎論記』(光記と略される)と法宝『俱舎論疏』(宝疏と略される)とが合わせて研究された。五位七十五法三世実有・法体恒有といった学説は『俱舎論』に基づくものである。


【所収】正蔵二九、Abhidharmakośabhāṣya of Vasubandhu, ed. by P. Pradhan, Patna, 1967.


【参考】青原令知編『俱舎—絶ゆることなき法の流れ』(自照社出版、二〇一五)


【参照項目】➡五位七十五法三世実有・法体恒有


【執筆者:石田一裕】