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檀王法林寺

提供: 新纂浄土宗大辞典

だんのうほうりんじ/檀王法林寺

京都市左京区法林寺門前町。正式には朝陽山栴檀王院無上法林寺。京都教区№一七。金戒光明寺末寺道光が文永九年(一二七二)に天台宗寺院蓮華蔵寺から移転して悟真寺を開創したことに始まる。山号の「朝陽山」は、道光が亀山天皇より賜ったもの。その後、応仁の乱などで焼失するが、慶長一六年(一六一一)、袋中たいちゅう檀王法林寺として復興した。その後は袋中弟子団王が阿弥陀堂を建立するなどして基礎を築いた。一二世良妙は一八世紀中ごろ本堂を大規模に修復し、また『華厳経』に説かれる仏教の守護神主夜神尊しゅやじんそんを祀り人々の信仰を集めた。幕末維新のころに寺運は一時衰退するが、二二世信ヶ原譲誉により復興した。二五世良哉・二六世良文は沖縄に袋中寺を建立するなど袋中以来の琉球との交流を深めた。奈良朝写経『七知経』、「熊野権現影向ようごうず」、「日吉山王ひえさんのう祭礼図」は国の重要文化財。また『寤寐集ごびしゅう』をはじめとする袋中の著作、琉球尚寧王筆「袋中上人図」などの琉球関連の宝物も残る。境内には、四天王立像を安置する楼門、袋中筆の名号を刻印した巨大な石碑、袋中御廟などがある。


【資料】『浄土宗寺院由緒書』上(『増上寺史料集』五)


【参考】横山重『琉球神道記』(一九三四)、信ヶ原雅文・石川登志雄『檀王法林寺 袋中上人』(淡交社、二〇一一)


【参照項目】➡袋中


【執筆者:三宅徹誠】