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性無作の仮色

提供: 新纂浄土宗大辞典

しょうむさのけしき/性無作の仮色

円頓戒戒体を表すことばであり、種々の因縁によってできた生まれつきのままの人間の身体をいう。戒法は戒体によって受けとめられはたらくことになるが、この戒体について色法戒体説や心法戒体説、非色非心法(不相応法)戒体説などがある。円頓戒法では天台智顗の『梵網菩薩戒経義疏』に「起さずんば止みなん。起さば性無作の仮色」(浄全一五・八二一下)とあるのによる。性とは本来的に具わっていること、無作とは表面に顕れない自在の潜在行為であり、仮色とは種々の因縁によって作られた人間の仮の身体をいう。これは肉体と精神が不即不離にある色心不二の身体である。持戒行為を引きおこす根本的な原動力がなければ戒体は発動しないが、持戒行為を引きおこせば性なる無作の仮色を戒体とするのである。すなわち生まれながらに有している自在のはたらきをする身体が持戒行為を発動する原動力となる。おこさなければ発動しないから授戒を通して発動させる。


【参照項目】➡戒体授戒・受戒円頓戒


【執筆者:福𠩤隆善】