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四禅天

提供: 新纂浄土宗大辞典

しぜんてん/四禅天

色界(Ⓢrūpadhātu)の諸天。『俱舎論』八(正蔵二九・四一上)では一七天を数え、四禅(Ⓢcaturdhyāna)の境地に相当するのでこう呼ばれる。六欲天の上空に階層をなして住処をもつが、欲界五欲はなく、初禅で離生喜楽(Ⓢvivekaja-prītisukha)、第二禅で定生喜楽(Ⓢsamādhija-prītisukha)、第三禅で離喜楽(Ⓢniṣprītisukha)と三種の楽の享受により特徴付けられる。初禅は梵衆天・梵輔天・大梵天の住む梵世(Ⓢbrahmaloka)であり、ここから四大洲までを一世界とする。第二禅は少光天・無量光天・極光浄天、第三禅は少浄天・無量浄天・遍浄天が住む。第四禅は喜や楽も捨て去った境地で、無雲天・福生天・広果天・無煩天・無熱天・善現天・善見天・色究竟天が住す。色究竟天は物質界の最上層であり、有頂天(Ⓢbhavāgra)とも呼ばれる。また最後の五天は阿那含のみの住処なので浄居天(Ⓢśuddhāvāsa)として区別する。大乗ではさらにこの上に大自在天という十地の菩薩の住処を説く。


【参考】定方晟『須弥山と極楽 仏教の宇宙観』(講談社、一九七三)


【参照項目】➡三界五欲


【執筆者:小澤憲雄】