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五欲

提供: 新纂浄土宗大辞典

ごよく/五欲

色・声・香・味・触の五境のこと。これら五つは欲望を引き起こす源となるから五欲という。Ⓢpañca kāmaguṇāḥ。五妙欲、妙五欲ともいう。『阿毘達磨集異門足論』には「五妙欲とは、一つ眼が識るところの色」(正蔵二六・四一五上)とあり、さらに「此の可愛の色能く諸欲を引き、染著に随順す。眼が識るところの色を妙欲と名づく」()とあり、声・香・味・触にも同様の説明がなされている。ここでは、眼が物質を見て、愛着を起こし、それによって様々な欲望が起こり、心が汚されるから色を妙欲とする、と説かれている。また『順正理論』には簡潔に「色等の五境能く貪を順増す。五妙欲と名づく」(正蔵二九・五一二中)とあり、五境は欲望を駆り立てるものであるから五妙欲とするとされる。また一般的に財欲・色欲・飲食欲・名欲・睡眠欲の五つも五欲と呼ばれる。


【資料】『阿毘達磨集異門足論』一一、『順正理論』三〇


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【執筆者:石田一裕】