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四念処

提供: 新纂浄土宗大辞典

しねんじょ/四念処

さとりを得るための四種の修行法で、三十七道品の第一。Ⓢcatvāri smṛtyupasthānāniⓅcattārosatipaṭṭhānāの訳。新訳では四念住といい、四意止とも訳される。身・受・心・法の四種に対する観法で、①身体は不浄である(身念処)、②感受は苦しみである(受念処)、③心は無常である(心念処)、④すべての事象は無我である(法念処)と観察し思い浮かべる行法である。すなわち、身・受・心・法という内外の一切法無常・苦・無我観察するものである。また、四念処は『大智度論』一九(正蔵二五・一九八下)や『俱舎論』二三(正蔵二九・一一九上)などでは、身・受・心・法に対する四つの誤った見方(顚倒してんどう)、①身体は浄らかである、②感受は楽である、③心は常住である、④すべての事象は我という本質がある、を打ち破るものであるともされる。


【資料】『中阿含経』「念処経」(正蔵一)


【参考】下田正弘「四念処に於ける不浄観の問題」(印仏研究三三—二、一九八五)、田中教照『初期仏教の修行道論』(山喜房仏書林、一九九三)


【参照項目】➡菩提分法顚倒


【執筆者:榎本正明】