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千本釈迦念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

せんぼんしゃかねんぶつ/千本釈迦念仏

京都市上京区七本松通今出川上ルにある真言宗智山派大報恩寺(通称、千本釈迦堂)に伝わる念仏。同寺は安貞元年(一二二七)の創建。千本釈迦念仏は、現在では三月二二日に営まれる「釈迦遺教経しゃかゆいきょうぎょうえ」に勤修される。法会では約三〇人の僧侶が『仏遺教経』を訓読で読み、釈尊の一生を分かりやすく説いたのち、「ナモシャカムニブ、ナモシャカムニブ…」と、さまざまな音程と抑揚を交えた「大原声明千本式」と呼ばれる独特の念仏を唱和する。当日は本尊開帳され、格子戸で隔てた外陣げじんは参詣者でうまる。吉田兼好の『徒然草』第二二八段には「千本の釈迦念仏は、文永のころ如輪にょりん上人、これをはじめられけり」とあり、如輪によって文永年間(一二六四—一二七五)に始められたものと伝え、当時より人々の尊崇を集めたことが知られる。


【執筆者:鵜飼光昌】