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伝道

提供: 新纂浄土宗大辞典

でんどう/伝道

宗教者が特定の宗教教義信仰を未信者に伝えて、信仰生活に導き入れるはたらきをいう。広義には、宗教全般に共通する用語である。浄土宗においてこの言葉を用いるようになったのは、明治・大正時代からである。これはキリスト教の影響によるもので、それ以前は仏教が一般に用いている説経・説法唱導談義勧化助説説教教化布教などの用語が用いられていた。これらの用語は、多少意味内容を異にしているものもあるが、大体において伝道と大差はない。通常、伝道布教伝道とか、伝道教化とか呼ぶ場合が多い。その歴史については、釈尊初転法輪にはじまり、中国・日本の列祖、とりわけ善導法然・歴代の浄土列祖の流れがあり、今日に至っている。伝道は、身・口・意三業を通して衆生教化することである。身業による伝道とは、日々の仏道生活、法要儀式、学校・病院等種々の施設事業、出版文書、芸術芸能活動、インターネット、海外援助等を通して、衆生教化するものである。口業による伝道には、説法、講演、人生相談、テレホン法話等があり、またパネルシアター法話などの視聴覚媒体を利用した教化も挙げられる。そして、身・口二業を動かしめるところの三宝帰依の心や信仰心によって衆生教化しようとする意業による伝道がある。つまりは「自信教人信」(「自ら信じ人をして信ぜしむる」『往生礼讃浄全四・三六二下)の伝道心といえる。また、浄土宗布教師会則中の事業に「大挙伝道」がある。これは、主に布教師大会において主催担当教区寺院数箇寺を会場として、全国の布教師の代表が檀信徒布教伝道を行うことである。また、ハガキなど紙媒体によるものを文書伝道と呼んでいる。


【参考】恵谷隆戒『伝道』(浄土宗、一九六八)、浄土宗布教伝道史編纂委員会編『浄土宗布教伝道史』(同、一九九三)


【参照項目】➡布教掲示伝道


【執筆者:正村瑛明】