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仏教徒社会事業研究会

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぶっきょうとしゃかいじぎょうけんきゅうかい/仏教徒社会事業研究会

渡辺海旭によって創設された研究会。日本において最初に「社会事業」を冠した団体であった。大正元年(一九一二)渡辺とともに東京在住の仏教社会事業家有志によって創設され、浄土宗労働共済会にその事務所をおき活動拠点とした。研究活動は毎月一回例会を開催し、「知識の交換、相互の懇親」につとめ、社会事業の研究調査と事業の発展を目的とした。その活動は「仏教徒による社会的事業の研究」とみられるが、渡辺の意識には「仏教ソーシャルワークの胎動」が位置づけられていた。この研究会活動は、その後の宗教大学社会事業研究室設立への布石ととらえることもできる。この研究会が当時最も社会的に機能したと評価できる事柄は、大正三年(一九一四)六月に第一回全国仏教社会事業大会を東京で開催したことである。この大会には、浄土宗のみならず各宗から仏教主義の社会的事業従事者が多く集まっている。大会の開催によって、仏教徒の手により社会的事業がどのように運営展開されているかを社会に周知させる契機となった。大会は同一一年の第四回大会まで回を重ねている。


【執筆者:落合崇志】