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上座部

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうざぶ/上座部

部派の名称。また現在東南アジアを中心に広まっている仏教教団の呼称で、上座部仏教、テーラワーダ仏教と同義。まず部派の名称としての上座部は、釈尊入滅の後に教団が分裂したことに起源を持つ。この分裂は根本分裂と呼ばれ、これが起こった時期については異説があるが『異部宗輪論』に従えば、釈尊滅後一〇〇年を経て起こったものとされる。ともかくこの分裂によって、仏教教団大衆部上座部の二派に分かれた。そしてこの上座部は、説一切有部や本上座部の母体となった。次に現在東南アジアを中心に広まっている仏教教団の呼称としての上座部であるが、これはアショーカ王の子マヒンダ(一説には弟)によってセイロンにもたらされた上座部が起源である。マヒンダは根本分裂後に上座部をセイロンに伝え、それが一一世紀頃にビルマ(ミャンマー)、タイ、カンボジアへと広がり現在に至っている。これら諸国の仏教の総称が、上座部上座部仏教であり、また英語ではⓅThera-vādaとBuddhismを組み合わせたThera-vāda Buddhismと呼ばれている。東南アジアの仏教教団にも、国によって異なりがあるが、上座部あるいは上座部仏教は、それらをひとまとめにした呼称である。


【参照項目】➡部派仏教大衆部


【執筆者:石田一裕】