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三宝礼

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんぼうらい/三宝礼

仏・法・僧の三宝を心から敬い礼拝する文。「一心敬礼十方法界常住いっしんきょうらいじっぽうほうかいじょうじゅうぶ 一心敬礼十方法界常住ほう 一心敬礼十方法界常住そう」。遵式じゅんしき往生浄土懺願儀さんがんぎ』(正蔵四七・四九一下)にある文。この書には「一切恭敬」の句に続いて「三宝礼」の文がある。勤行式などでは「香偈」の次に唱える文で上品礼をし、三宝帰依を表明する。心を一つにして敬って、あらゆる世界にまします仏(仏の教え、仏の教えをたもつ僧)に礼拝します、の意。仏の真身、その聖教、これを弘通ぐずうした菩薩聖衆五体投地して礼拝するときに唱える文。『吉水瀉瓶訣しゃびょうけつ』には「帰依願王阿弥陀仏帰依浄土三部経帰依極楽世界清浄大海衆」とある(『伝灯輯要』下・八三四)。浄土宗としての仏は阿弥陀仏、法はその説くところの法宝「浄土三部経」、僧はこれを弘通する浄土列祖等であり、通仏教三帰依から浄土宗三帰依として礼拝する文でもある。三宝礼または序分を省略する法会では、三宝帰依の意を表して三礼する。増上寺での「阿弥陀懺法せんぼう」は、「法華懺法」と同様に「一心敬礼いっしんけいれい 十方法界常住しはうはかいしょうちうふ法僧はそう)」と漢音で読む(『法要集』明治四三年版)。『法事讃』上では、「道場大衆裏相与りそうよ 至心敬礼 南無常住仏(法・僧)」と三宝帰依をしている(『浄土法事讃 抄本法則』浄土宗、一九七八)。音楽法要等では「三宝礼」に代わって、パーリ語の「三帰依文」(ブッダム サラナム ガッチャーミ ダンマム サラナム ガッチャーミ サンガム サラナム ガッチャーミ)を唱えることがある。『諸回向宝鑑』二には、三宝礼誦文(仏宝礼・法宝礼・僧宝礼)と三宝礼偈(能礼所礼性空寂我此道場如帝珠)を掲載している(三ウ)。松濤基道『仏教聖歌集』には「三宝礼一心に仏に)」「三宝礼一心敬礼)」を掲載し(浄土宗、一九八二)、小川隆宏『浄土宗の「新しい音楽法要」』には、「一心に敬って(三宝礼)」を掲載して、「わかりやすい みんなのおつとめ」を提唱している(Studio Boo Work Station、一九九八)。


【執筆者:西城宗隆】