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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0074A01: るるに彌樂をます。又四方の綠の空晴て天の音樂靜
Z15_0074A02: に聞え。紫雲たなびいて。色色の花を四方に雨す。
Z15_0074A03: 瑠璃の池明かにして。十方淨土の姿をうつし。栴檀
Z15_0074A04: の林珍敷して。金銀の枝葉を交へたり。此故に心猶
Z15_0074A05: 留まるは黃金樹林の夕の色。淚留まらざるは上品蓮
Z15_0074A06: 臺の曉の樂と云り。如[シテ]是宮殿より亦宮殿に行は。樂
Z15_0074A07: みますます珍敷。林池より又林池に至るに。尙相續
Z15_0074A08: て樂みのみ有て。苦みある事なし。各皆愛敬の形を
Z15_0074A09: 備えて。年の寄事もなく無。又苦しく。わび
Z15_0074A10: しき事なし。故に極樂と云。只是一所のみ如此なる
Z15_0074A11: には非ず。十方世界の百寶の地の上。七寳の林の間。
Z15_0074A12: 八功德水の池の邊にも。各各聖衆樂みを受て。樣樣
Z15_0074A13: に遊び。戲れ。或は衆生利雨の如く。十方の世界よ
Z15_0074A14: り來り生るを見。或は聖衆其數多くして。無數の佛土
Z15_0074A15: より來るを見る。或は樓閣に登りて。十方を見る者
Z15_0074A16: もあり。或は空中にして經を讀。法を說者もあり。
Z15_0074A17: 或は靜にありて心をしづむる者もあり。加之各空を
Z15_0074B01: 飛かけり。遊戲ふるる事。皆心に任せたり。又彼衆
Z15_0074B02: 生を觀音勢至普賢文殊等の諸大菩薩の哀れみ給ふ事
Z15_0074B03: は。譬は親の獨子を見て悲むが如く。彼觀音勢至の
Z15_0074B04: 哀みこしらへ給ふに隨て。漸く見れば。彌陀如來の
Z15_0074B05: 所に參り。又娑婆にして御名を唱へ。心を懸しに。
Z15_0074B06: いつしか已に七寶の床に踞まりて。萬德の尊容を拜
Z15_0074B07: し奉んと思ひしに。旣に忝なくも。如來百福莊嚴の
Z15_0074B08: 御手を以て。行者の頂きを撫て曰。汝ぢ善哉善哉。
Z15_0074B09: 旣に三界の苦を出たりと哀みほめ給ふ。加之各各に
Z15_0074B10: 人の心に隨て法を說給ふ。法の理肝に染て。歡喜の
Z15_0074B11: 淚不留。渴仰骨に通る。旣に如來の御誓に依て。衆
Z15_0074B12: 生各各果を覺り得るなり。故に十方の世界を見んと
Z15_0074B13: 思へば。立事なくして。旣に見る。又無量の淨土へ
Z15_0074B14: 行んと思へば。須臾の程に行歸る。又諸俱に遊び(タハムレハ)
Z15_0074B15: 菩薩聖衆は皆是昔し別れを惜みし親子の契り深かり
Z15_0074B16: し人人なりと云事を。一一に皆知ぬ。此故に彌よ淨
Z15_0074B17: 土なつかしく。尙尙佛道の心つよくなりぬ。故に佛

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