浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0073A01: | 方に世界有名て極樂と云ふ。其世界の佛の御名を阿 |
Z15_0073A02: | 彌陀如來と申。今現在に法を說給ふ。其國に生るる |
Z15_0073A03: | 人は。諸の苦みある事なし。唯萬の樂をのみ受るが |
Z15_0073A04: | 故に極樂と云と。阿彌陀經に說れたり。但し彼國に |
Z15_0073A05: | 九品の差別あり。暫く其中の中品中生に生るる人は。 |
Z15_0073A06: | 臨終の砌に。一日一夜諸の戒を能く持て。乃至三世の |
Z15_0073A07: | 諸佛の敎に隨ふが故に。佛來迎し給ふて。卽極樂に |
Z15_0073A08: | 行。蓮華の中に生れ。又七日を經て蓮す開く。始て |
Z15_0073A09: | 華開くる時。樂みを受る事無量也。譬へば盲ひたる |
Z15_0073A10: | 者の俄に明かなる眼を得。又賤き者の忽に王位に至 |
Z15_0073A11: | るが如し。則自身を見れば皆紫磨金の色となり。三 |
Z15_0073A12: | 十二相備りて。身には瓔珞莊嚴の衣を著。濃き薄き |
Z15_0073A13: | 願に隨て重れり。其身には栴檀の香を薰じ。口より |
Z15_0073A14: | 靑蓮華の息を出し。凡そ內外俱に淸淨にして。常に |
Z15_0073A15: | 光りありて。彼是互に照す。又宮殿は金銀瑠璃を以 |
Z15_0073A16: | て鏡をみがき玉を磨き彩て立たるが如し。又彼宮殿 |
Z15_0073A17: | 樓閣の玉の簾れ。錦の帳の內には。寶衣を敷り。是 |
Z15_0073B01: | に諸の菩薩聖衆と俱に在て。萬心に任たり。亦百味 |
Z15_0073B02: | の飮食甘露を調へて時に隨て來る。實とに食する事 |
Z15_0073B03: | なけれ共。見るに悉く飽滿す。又瑠璃の庭の上には |
Z15_0073B04: | 妙なる寶衣を普く敷り。籬の內の金の草における露 |
Z15_0073B05: | は玉を貫て面白く。銀の樹にさける華は。葉を彩て |
Z15_0073B06: | 耀けり。又池の邊りに行ば。天人聖衆龍頭鷁首の船 |
Z15_0073B07: | を浮べ。簫笛琴箜篌の曲を調へて聞せ。又天の諸の |
Z15_0073B08: | 童子汀に遊べば。百寶色相の鳥。人に馴て法を囀る。 |
Z15_0073B09: | 又池の間には。鳧鴈鴛鴦波に戱れて浮沈む。江の邊 |
Z15_0073B10: | には。孔雀鸚鵡のやさしき姿た色色にして音音に。 |
Z15_0073B11: | 目出度法門を唱へつつ。或は近付又遠のきむらがり |
Z15_0073B12: | 飛遊ぶ。さざなみ閑にして心澄み法を說り。又池の蓮 |
Z15_0073B13: | 華なつかしくして宿りて。遊ぶに妙なり。又金の池 |
Z15_0073B14: | の底には銀の砂有。銀の池の底には金の砂あり。水 |
Z15_0073B15: | 精の池の底には瑠璃の砂有。瑠璃の池の底には水精 |
Z15_0073B16: | の砂あり。加レ之諸の玉の砂は色をかへて敷。樣樣の |
Z15_0073B17: | 池の水は光りを交へて流たり。是皆手に取。身にふ |