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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0069A01: 南無阿彌陀佛とも。若は阿とも申させん事を。知識
Z15_0069A02: も祈り。病者も思ふべき也。正く終る時の息に十念
Z15_0069A03: を申し終る事を得れば。四重五逆を犯る罪人も往生
Z15_0069A04: をうべしと云り。又兼て誦經物を儲け置て。最後と見
Z15_0069A05: る時。近き寺にて誦經を行へ。是正念をまさんが爲な
Z15_0069A06: り。但し寺無き所にては知識等の中にして行ずべし。
Z15_0069A07: 若正念亂れずんば。往生誰か疑ひあらん。雖病日
Z15_0069A08: 比より(ヲモリ)樣樣衰へて苦しみ。理りをも忘れ。聞物見
Z15_0069A09: る物かすかに成て。心失る時の料にもなり。善知識と
Z15_0069A10: 云は是を顧みて。彌哀を(ナシ)樣樣にして十念を滿てさ
Z15_0069A11: せよ。又淸き水を置て。紙にひたして唇をぬらし。
Z15_0069A12: 又蛤りの貝を以て。唇を常にぬらせ。其上に聲力を
Z15_0069A13: そえて。十念を常に唱へさせよ。若し次第に氣色た
Z15_0069A14: がひて息荒くならば。此時に云べし。佛の見奉り給
Z15_0069A15: ふ哉經に曰。
Z15_0069A16: 一見彌陀佛。必免三惡道。何況稱名號。決定成菩
Z15_0069A17:
Z15_0069B01: 文の意は。一度も彌陀佛を見奉ば。必ず惡道を免る。
Z15_0069B02: 何に況や。名を唱る者は。定て佛に成と云り。一度
Z15_0069B03: 見奉つるすら賴しき事如斯。旣に御往生の時近付て
Z15_0069B04: 見えさせ給ふ。閑に聞し召年來の念佛の功と云。又
Z15_0069B05: 諸の善根と云。亦臨終正念の祈と申し。如此等の上
Z15_0069B06: に。兼て申せし所の善知譏等が。年來の行業をば。
Z15_0069B07: 今旣に汝に讓り奉る。又其上一心にはげむ所の。大
Z15_0069B08: 聖明王後に守り給ふ。隨御心實に見えさせ給はん。
Z15_0069B09: 定て阿彌陀如來も影向し給ふらん。御誓に永く誤り
Z15_0069B10: なければ也といひ聞せよ。此時に必ず病者に隨て三
Z15_0069B11: の淺深の意有べし。一には宿因賢き人ならば。殊に
Z15_0069B12: 信心を發したる氣色を顯はして。十念高く申すべし。
Z15_0069B13: 然ば病者の音を不して金を鳴し。知識の聲をほそ
Z15_0069B14: めよ。さてよはる所に申しそえ申しそえせよ。又彼
Z15_0069B15: 音ひきくならば知識の聲を少しあげて。十念を勸め
Z15_0069B16: よ。二に常の樣に勸めよ。三に病者事の外によはり
Z15_0069B17: 聲を出す事不能。兼て云所の阿字也。御心亂れ給ふ

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