ウィンドウを閉じる

Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0068A01: 樣に思食さん時は。則御臨終の時にて候べき也。我
Z15_0068A02: 等其を見て今ぞと申ば。御心にも此時を彼時と思し
Z15_0068A03: 召せと言ひ聞せよ。さては殊に十念の思ひ是に可
Z15_0068A04: 有。其念と云は。彼時に可思。阿彌陀如來も迎んと
Z15_0068A05: 御誓ひあり。我も今參らんと思ふに。旣になにもか
Z15_0068A06: も我身もぬけがらの如に思ひ忘れて。一心に南無阿
Z15_0068A07: 彌陀佛と唱へて。出る息の終んに付て。軈て極樂へ
Z15_0068A08: 參るなり。十念一念は唯爰にあり。年比祈る所の思
Z15_0068A09: ひも。又願ふ處も唯此かみすぢ切程の思ひ也。努努
Z15_0068A10: 忘るる事おはしまさざれ。如來說敎て曰。
Z15_0068A11: 乃至一念。念於彼佛。以至誠心。願生其國。此人臨
Z15_0068A12: 終。夢見彼佛。卽得往生
Z15_0068A13: 意は乃至一念も阿彌陀を念じ奉て。至誠心を以彼國
Z15_0068A14: に生んと願はんに。此人終に彼佛を夢に見て。則往
Z15_0068A15: 生する事を得と說給ひぬ。又先德も心に要法を全し
Z15_0068A16: て。善心相續して至於十念。或は一念成就すれば亦
Z15_0068A17: 往生云云意は能く相續して十念を至し。或は一念
Z15_0068B01: 成就すれば又往生する事を得と被仰たるなり。能能
Z15_0068B02: 意得おはしませ。往生要集に云。時所諸緣を不
Z15_0068B03: 臨終の時心亂らずして。念佛すれば往生する事を得
Z15_0068B04: と云り。若し人佛を不念して終る時は。魔緣魔界の
Z15_0068B05: 諍事。譬へばかたうど人無して人屋より出る時。諸の
Z15_0068B06: 敵の打うはうが如しと。此故に一心に佛を念じ奉れ
Z15_0068B07: ば。佛百千萬の聖衆と俱に來迎へ給ふ。故に萬の罪
Z15_0068B08: を遁れて極樂世界に生るる也と云り。仍て一念の間
Z15_0068B09: の信心は。無量劫の間の樂なり。努努他念なかれ。
Z15_0068B10: 往生は心をつよくして。信心の音を出して。終れと
Z15_0068B11: 云り。故に心に彌陀を念じ。口に名號を唱ふべし。
Z15_0068B12: 佛に一念も心を懸。一度も御名を唱ふれば。化佛菩
Z15_0068B13: 薩聲を尋ねて。來迎し給ふと云るが故に。若し南無阿
Z15_0068B14: 彌陀佛の六字までも唱る事あたはずば。阿彌陀の阿
Z15_0068B15: と云ふ一字を唱へ給へ。其にても萬づ足ぬすべき也
Z15_0068B16: と云べし。去は人の定て終る時は。出る息に命は終
Z15_0068B17: るなり。構へて目を不放して。其命終らん度の息に。

ウィンドウを閉じる