浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0070A01: | な。只此阿と云一字を以。萬は足ぬすべき也と云ひ。 |
Z15_0070A02: | 其も不ハレ叶。只西方に佛御坐と云思ひを忘れ給はずば |
Z15_0070A03: | 御往生を可二遂給一也。其故は佛の言はく。若人臨終の |
Z15_0070A04: | 時。不レ能レ作レ念ヲ。但し知リ二彼方ニ有ト一レ佛。作ハ二往生ノ意ヲ一亦 |
Z15_0070A05: | 得ウト二往生ヲ一云り。是如來の仰せられたる事は。一つも |
Z15_0070A06: | 誤り候はぬぞ。只一心に如レ斯思し召せなどと云聞 |
Z15_0070A07: | せよ。若又東西も不ハレ知。手を取合て西方へ向て病者 |
Z15_0070A08: | の出息に同知識の息を俱に出入せよ。彼に替りて彼 |
Z15_0070A09: | を助よ。尙し知識を賴は臨時の料也。一日二日乃至 |
Z15_0070A10: | 七日までも。見放さずして彼息終ん度の息に念佛を |
Z15_0070A11: | 申しきかせよ。若聞ても往生の思ひをなさば。彼國 |
Z15_0070A12: | に生るべきなり。經に曰。 |
Z15_0070A13: | 其佛本願力 聞名欲往生 皆悉悉到彼國 自致不退 |
Z15_0070A14: | 轉文 |
Z15_0070A15: | 故に念ずるにも生レ。唱るにも參り。名を聞にも至る所 |
Z15_0070A16: | なり。專ら正念によるべき事如レ是。殊に最後の時に |
Z15_0070A17: | 言は少なくして云べし。病者知し食たりや。今往生 |
Z15_0070B01: | の御時也。彼一念は覺えさせ給ふや。臨終の一念は。 |
Z15_0070B02: | 百年の善根にも勝れたりと申すは只今の事也。必ず |
Z15_0070B03: | 上品上生に參りて。一切衆生を安く導き給へと。言 |
Z15_0070B04: | 聞せて後には。只言を留て十念にて其息を留むべき |
Z15_0070B05: | 也。若し十念申し不レ足は。知識一心にして不足分を |
Z15_0070B06: | 申て滿よ。又自十念成就したらんに於ては。決定往 |
Z15_0070B07: | 生と知べし。文に曰。 |
Z15_0070B08: | 若有衆生發大心 十念彌陀之名號 |
Z15_0070B09: | 臨終必定生極樂 上品蓮臺得無生矣 |
Z15_0070B10: | 文の意は若し人菩提心を發して。十念を唱れば。臨終 |
Z15_0070B11: | に必上品蓮臺に生て。則覺を開く處なり。只今病者 |
Z15_0070B12: | の心は夢の如し。臨終正念は必知識の力を憑む。往 |
Z15_0070B13: | 生極樂は偏に彌陀の本誓を仰き奉る。若爾は設ひ彼 |
Z15_0070B14: | 本誓は誤り無とも是を勸むる人なくんば。如何んが |
Z15_0070B15: | 造惡の凡夫忽に九品の臺に登る事を得んや。只百千 |
Z15_0070B16: | 萬人の往生も三五の知識の力也。是故に知者の寂滅 |
Z15_0070B17: | の理りは。只此時にあり。願は往生の相を顯はし給 |