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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0066A01: かかる惡世に事なく病を受て。幸に知識にあへる悅。
Z15_0066A02: 是幾計ぞと。爰に知。又往生の宿善有と云事を。か
Z15_0066A03: かる故に。病ひの苦を受るは。還て淨土の樂を受べ
Z15_0066A04: き相と可思。生死に終りあり。今生を穢土の終りと
Z15_0066A05: せん。又菩提に始あり。後世を淨土の始とせんと思
Z15_0066A06: ふべき也と云り。
Z15_0066A07: 第六に十念に習有べき樣と者。夫れ何事も兼て習な
Z15_0066A08: き事は。時に望んで。さはがしき也。譬へば俄の走り
Z15_0066A09: 火は。心さはぐといへ共。用意の(ヤイト)の火は。心亂れ
Z15_0066A10: ざるが如し。あつけれ共。兼てより思ひ定めたる故
Z15_0066A11: に。俄に不驚。又最後臨終の苦みありと云とも兼て
Z15_0066A12: 用意したらん人の臨終も亦以て如此。されば佛大王
Z15_0066A13: に吿て曰。人善行を積たるは。死する時惡念なし。譬
Z15_0066A14: へば樹伐に終には必ずゆがめる方へ倒るが如しと。
Z15_0066A15: 又はげしき風一度至れば百の苦しみ其身に集まる。
Z15_0066A16: 是故に前よりの習無んば。如何が思ひを遂べきと意
Z15_0066A17: 得て。各志しを同くして十念を成しめよ。取意殊に彌
Z15_0066B01: 陀の本願に曰。
Z15_0066B02: 設我得佛。十方衆生。至心信樂。欲生我國。乃至十
Z15_0066B03: 念。若不生者。不取正覺。
Z15_0066B04: と誓ひ給へり。深く此誓願を賴て。能能十念を習べ
Z15_0066B05: き也。但し何れにも佛の敎へを信ずべし。其故は。一
Z15_0066B06: 心顚倒すれば。獄率器杖を振ひ。十念成就すれば。聖
Z15_0066B07: 衆蓮臺をかたぶくと云り。爰に知ぬ鐵杖に恐れあり。
Z15_0066B08: 蓮臺は心にありと云事を。抑云所の十念に付て多の
Z15_0066B09: 釋ありと云ども。唯心を一つにして。十遍南無阿彌
Z15_0066B10: 陀佛と唱る。是を十念と云り。故に構へて一心なれ
Z15_0066B11: と勸むべき也。但し勸始ん事は。病者の心に付て始
Z15_0066B12: よ。閑に金鳴して哀の聲を和かに出し。南無阿彌陀
Z15_0066B13: 佛と知識の唱ん其聲に付て。病者も南無阿彌陀佛と
Z15_0066B14: 唱へよ。如斯十度唱へて。知識數を取て。金を打て發
Z15_0066B15: 願すべし。南無西方極樂化主彌陀如來本願誤り無く。
Z15_0066B16: 聖衆と俱に來つて。必ず行者を引接し給へと。又知
Z15_0066B17: 識病者に向て云べし。旣に十念成就しつ。若し加樣に

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