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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0064A01: 惡において半なる人也。但し下品の者は心無して闇
Z15_0064A02: きより闇に行べし。是かへりみ哀ふべし。其謂は佛
Z15_0064A03: 曰。諸の功德の中には(コツ)(カイ)人と病人とを哀むを第一
Z15_0064A04: の福田と曰也。又施を行ずる中にも。最下の病者に供
Z15_0064A05: 養すると。諸佛に供養し奉る功德等しと云り。梵網經維
Z15_0064A06: 摩經の說なり又行基菩薩の敎へなり。されば或は三寶を供や
Z15_0064A07: うするとも思ひ。且は世間の情けあるべし。殊に我臨
Z15_0064A08: 終を思はん人は彼無緣の乞丐人と病ひを受たらん者
Z15_0064A09: を。殊に供養し憐ふべき也。此十餘卷の文共の心。此
Z15_0064A10: 謂れ其數あり。故に力無き者に力をそへ。憐む人なき
Z15_0064A11: 者にあはれみをなして。眞の慈悲志すをつくしべし。
Z15_0064A12: 今此文に云が如きなり。又近邊の人にてもあれ。又
Z15_0064A13: は師君にてもあれ。此次第を以て彼を勸めよ。但し
Z15_0064A14: 別しては佛法を背き。因果撥無する邊地下賤の者の
Z15_0064A15: 爲也。殊に是を憐みて彌慈悲を垂よ。せめて恩愛の
Z15_0064A16: 方便を以て勸めよ。云所の知識を請じて構へて佛道
Z15_0064A17: をなさしめよ。此心有人をば佛菩薩と等しき心有人
Z15_0064B01: と申べき也。是愚か成る心を以て押計て申には非ず。
Z15_0064B02: 正く聖敎に說て曰。一切衆生の根性不同にして。上
Z15_0064B03: 中下有れ共。隨其根性佛皆勸め給ふ。專念セハ無量壽佛
Z15_0064B04: (ミナヲ)。其人の欲命終ント時佛與聖衆自來迎接し。盡
Z15_0064B05: 往生なり。
Z15_0064B06: 第五に病者を苦め間敷樣と者。先づ一院の僧徒哀の
Z15_0064B07: 心を以て番を結て。看病の人二三人死して病ひの始
Z15_0064B08: より是を護れと云り。此故に萬事をさし置て。知識は
Z15_0064B09: 病人をいたはり。病者は心安くして一心に念佛を申
Z15_0064B10: べし。若し一度正念を失〓共。永く三途を免れず。是
Z15_0064B11: 聖人すら善惡の緣による。況や凡夫をや。然則淨土
Z15_0064B12: に非んば何くか思ひに叶所あらん。聖衆に非んば誰
Z15_0064B13: か心に隨ふ人あらんと云り。是故に病者も是になぞ
Z15_0064B14: らへよ。看病の人も亦爾也。但し病者をば賤きとて
Z15_0064B15: 蔑ろに言事なかれ。又愚なりとて心無しと言事なか
Z15_0064B16: れ。敬ん事は佛の如くにし。憐ん事は一子の思ひをな
Z15_0064B17: せと佛宣給へり。去ば諸のすく甘くいみじからん藥。

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