浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0064A01: | 惡において半なる人也。但し下品の者は心無して闇 |
Z15_0064A02: | きより闇に行べし。是かへりみ哀ふべし。其謂は佛 |
Z15_0064A03: | 曰。諸の功德の中には乞丐人と病人とを哀むを第一 |
Z15_0064A04: | の福田と曰也。又施を行ずる中にも。最下の病者に供 |
Z15_0064A05: | 養すると。諸佛に供養し奉る功德等しと云り。梵網經維 |
Z15_0064A06: | 摩經の說なり又行基菩薩の敎へなり。されば或は三寶を供や |
Z15_0064A07: | うするとも思ひ。且は世間の情けあるべし。殊に我臨 |
Z15_0064A08: | 終を思はん人は彼無緣の乞丐人と病ひを受たらん者 |
Z15_0064A09: | を。殊に供養し憐ふべき也。此十餘卷の文共の心。此 |
Z15_0064A10: | 謂れ其數あり。故に力無き者に力をそへ。憐む人なき |
Z15_0064A11: | 者にあはれみをなして。眞の慈悲志すをつくしべし。 |
Z15_0064A12: | 今此文に云が如きなり。又近邊の人にてもあれ。又 |
Z15_0064A13: | は師君にてもあれ。此次第を以て彼を勸めよ。但し |
Z15_0064A14: | 別しては佛法を背き。因果撥無する邊地下賤の者の |
Z15_0064A15: | 爲也。殊に是を憐みて彌慈悲を垂よ。せめて恩愛の |
Z15_0064A16: | 方便を以て勸めよ。云所の知識を請じて構へて佛道 |
Z15_0064A17: | をなさしめよ。此心有人をば佛菩薩と等しき心有人 |
Z15_0064B01: | と申べき也。是愚か成る心を以て押計て申には非ず。 |
Z15_0064B02: | 正く聖敎に說て曰。一切衆生の根性不同にして。上 |
Z15_0064B03: | 中下有れ共。隨テ二其根性ニ一佛皆勸め給ふ。專念セハ無量壽佛 |
Z15_0064B04: | の名一。其人の欲二命終ント一時佛與二聖衆一自來迎接し。盡ク得ル二 |
Z15_0064B05: | 往生ヲ一なり。 |
Z15_0064B06: | 第五に病者を苦め間敷樣と者。先づ一院の僧徒哀の |
Z15_0064B07: | 心を以て番を結て。看病の人二三人死して病ひの始 |
Z15_0064B08: | より是を護れと云り。此故に萬事をさし置て。知識は |
Z15_0064B09: | 病人をいたはり。病者は心安くして一心に念佛を申 |
Z15_0064B10: | べし。若し一度正念を失〓共。永く三途を免れず。是 |
Z15_0064B11: | 聖人すら善惡の緣による。況や凡夫をや。然則淨土 |
Z15_0064B12: | に非んば何くか思ひに叶所あらん。聖衆に非んば誰 |
Z15_0064B13: | か心に隨ふ人あらんと云り。是故に病者も是になぞ |
Z15_0064B14: | らへよ。看病の人も亦爾也。但し病者をば賤きとて |
Z15_0064B15: | 蔑ろに言事なかれ。又愚なりとて心無しと言事なか |
Z15_0064B16: | れ。敬ん事は佛の如くにし。憐ん事は一子の思ひをな |
Z15_0064B17: | せと佛宣給へり。去ば諸のすく甘くいみじからん藥。 |