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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0059A01: 坐して。正く西方へ向へ。若臥んには佛の𣵀槃に入
Z15_0059A02: 給ひし樣に。北枕にして西に向ひ臥せよ。何方と云
Z15_0059A03: ふとも云事あらば。其に任よ。其時衣も袈裟も美麗
Z15_0059A04: なるを捨て。淸くして然も宜きを用よ。又沐浴の用
Z15_0059A05: 意して尋ねん時に隨へ。さて佛は三尺の立像の阿彌
Z15_0059A06: 陀如來を用ひよ。又は坐像にてもしかるべし。設ひ何
Z15_0059A07: れの佛菩薩にても病者の心に隨へ。若は繪像にても
Z15_0059A08: あれ。又は經卷をも持せよ。只勸て云べし。是皆佛
Z15_0059A09: の敎なりと。故に人の心に皆思ふ旨あり。さて佛と
Z15_0059A10: 病者との間遠からず。高かるべからず。其故は。遠
Z15_0059A11: きは最後の時は。目かすみて不故に。又高きは見
Z15_0059A12: 上る事不能故に。其間五六尺の程は吉し。臥ながら
Z15_0059A13: 眼を開かば軈て見ゆる樣に計え。佛の左の御手に五
Z15_0059A14: 色の幡若は絲を付よ。或は佛の右の手の指に付て。左
Z15_0059A15: の御手を引通せ共云り。則病者の右の手の中の指に
Z15_0059A16: 懸取しめよ。五色の絲を八十歲より前の女人に精進
Z15_0059A17: せさせて。淸所に置て淸麻をうませて。能能さらし
Z15_0059B01: て五に分て染よ。一をば靑く。一をば黃に。一をば
Z15_0059B02: 赤く。一をば白く元の色一をば黑く可染。已上五色
Z15_0059B03: なり。如是色色に染ん事は。聖なんどにせさせて。
Z15_0059B04: 灌頂仕たる人の許へ送りよらせて受よ。是をば世間
Z15_0059B05: の人に普く見せ知せぬ事なり。絲の長さは一丈二尺
Z15_0059B06: に經て九尺によらせよ。長くよる樣もあり。又佛の
Z15_0059B07: 御前には必香を燒花を備え。火をとぼせ。夜になら
Z15_0059B08: ば佛の御前にも又病者の前にも俱に火をとぼせ。其
Z15_0059B09: 故は佛を病者に明らかに見せ。知識も病者の息の出
Z15_0059B10: 入。眼の氣色を明らかに見んが爲なり。さて枕もと
Z15_0059B11: に一の磬を置け。打鳴んが爲なり。若無んば。せめ
Z15_0059B12: て鏡にても有べし。又病者のあたりに有べき物は屛
Z15_0059B13: 風。是は見苦るしき折折病者の起臥苦しめじが爲な
Z15_0059B14: り。又脇息棉手洗紙など置べし。餘の多き事共あれ
Z15_0059B15: 共。是に心を得て餘の物をも置べし。此等を兼て調
Z15_0059B16: て置て後。是へ病者を渡さん事。病急ならずば。吉
Z15_0059B17: 日を取て渡せ。若は吉時にても有べし。男女ながら

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