浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0059A01: | 坐して。正く西方へ向へ。若臥んには佛の𣵀槃に入 |
Z15_0059A02: | 給ひし樣に。北枕にして西に向ひ臥せよ。何方と云 |
Z15_0059A03: | ふとも云事あらば。其に任よ。其時衣も袈裟も美麗 |
Z15_0059A04: | なるを捨て。淸くして然も宜きを用よ。又沐浴の用 |
Z15_0059A05: | 意して尋ねん時に隨へ。さて佛は三尺の立像の阿彌 |
Z15_0059A06: | 陀如來を用ひよ。又は坐像にてもしかるべし。設ひ何 |
Z15_0059A07: | れの佛菩薩にても病者の心に隨へ。若は繪像にても |
Z15_0059A08: | あれ。又は經卷をも持せよ。只勸て云べし。是皆佛 |
Z15_0059A09: | の敎なりと。故に人の心に皆思ふ旨あり。さて佛と |
Z15_0059A10: | 病者との間遠からず。高かるべからず。其故は。遠 |
Z15_0059A11: | きは最後の時は。目かすみて不ルレ見エ故に。又高きは見 |
Z15_0059A12: | 上る事不カレ能故に。其間五六尺の程は吉し。臥ながら |
Z15_0059A13: | 眼を開かば軈て見ゆる樣に計え。佛の左の御手に五 |
Z15_0059A14: | 色の幡若は絲を付よ。或は佛の右の手の指に付て。左 |
Z15_0059A15: | の御手を引通せ共云り。則病者の右の手の中の指に |
Z15_0059A16: | 懸取しめよ。五色の絲を八十歲より前の女人に精進 |
Z15_0059A17: | せさせて。淸所に置て淸麻をうませて。能能さらし |
Z15_0059B01: | て五に分て染よ。一をば靑く。一をば黃に。一をば |
Z15_0059B02: | 赤く。一をば白く元の色一をば黑く可レ染。已上五色 |
Z15_0059B03: | なり。如レ是色色に染ん事は。聖なんどにせさせて。 |
Z15_0059B04: | 灌頂仕たる人の許へ送りよらせて受よ。是をば世間 |
Z15_0059B05: | の人に普く見せ知せぬ事なり。絲の長さは一丈二尺 |
Z15_0059B06: | に經て九尺によらせよ。長くよる樣もあり。又佛の |
Z15_0059B07: | 御前には必香を燒花を備え。火をとぼせ。夜になら |
Z15_0059B08: | ば佛の御前にも又病者の前にも俱に火をとぼせ。其 |
Z15_0059B09: | 故は佛を病者に明らかに見せ。知識も病者の息の出 |
Z15_0059B10: | 入。眼の氣色を明らかに見んが爲なり。さて枕もと |
Z15_0059B11: | に一の磬を置け。打鳴んが爲なり。若無んば。せめ |
Z15_0059B12: | て鏡にても有べし。又病者のあたりに有べき物は屛 |
Z15_0059B13: | 風。是は見苦るしき折折病者の起臥苦しめじが爲な |
Z15_0059B14: | り。又脇息棉手洗紙など置べし。餘の多き事共あれ |
Z15_0059B15: | 共。是に心を得て餘の物をも置べし。此等を兼て調 |
Z15_0059B16: | て置て後。是へ病者を渡さん事。病急ならずば。吉 |
Z15_0059B17: | 日を取て渡せ。若は吉時にても有べし。男女ながら |