浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0058A01: | 父母兄弟及妻子 朋友僮僕竝珍財 |
Z15_0058A02: | 死去無二一來テ相親ム一 唯有テ二惡業ノミ一常ニ隨逐文 |
Z15_0058A03: | 去は彼寶有は心安からん樣に。三寶にも供養し奉り。 |
Z15_0058A04: | 亦取すべからん人にも。分ち與べき也。さて遺言心 |
Z15_0058A05: | に任せて後は。必ず古き居所をされ。心を留めじが |
Z15_0058A06: | 爲なり。又堂塔。僧坊佛の具本尊に至る迄。努努是に |
Z15_0058A07: | 心をとゞめざれ。譬へば車に心とゞめて禁中に入ざ |
Z15_0058A08: | らんが如し。是を力として極樂に參るべしと思ひて。 |
Z15_0058A09: | 佛具本尊を妄りに愛して。依レ之。生死に廻ん人も。 |
Z15_0058A10: | 亦如レ是如何なる大善根を作たりとも。努努心を留 |
Z15_0058A11: | ざれ。旣に淨土に生れなば。無量の事心に任せて望を |
Z15_0058A12: | 遂ん事安が故なり。又何くにて死なんと思ひ定る事 |
Z15_0058A13: | なかれ。何くか此三界の內にあらざる善惡に付て。 |
Z15_0058A14: | 少しも。此世に思ひを殘さゞれとぞ。此十餘卷の文 |
Z15_0058A15: | 共にも申たる。されば病の始めよりして。事事しく |
Z15_0058A16: | 往生の沙汰を。のゝしり披露すべからず。其故は。 |
Z15_0058A17: | 人知れば魔緣知る。彼知れは障りを成す故なり。但 |
Z15_0058B01: | 見苦敷由を云て。知識の外に人に逢事なかれ。逢と。 |
Z15_0058B02: | 逢ざる人有れば。其恨多きが故なり。さては必ず病 |
Z15_0058B03: | の始より。我力の及ん所ろの。殺生を禁斷せよ。公 |
Z15_0058B04: | 私の事をば。とく〳〵心安からん人に申付よ。若く是 |
Z15_0058B05: | を聞事あらば。心亂れ惡かるべきが故に。又文に曰。 |
Z15_0058B06: | 其時心亂るゝ事出來ぬべしと云り。其をば兼て。か |
Z15_0058B07: | く知て然も不レ可レ隨。いよ〳〵浮世を厭ふて淨土を願 |
Z15_0058B08: | ふべし。如レ是等の事多しといへ共。是に順じて用意 |
Z15_0058B09: | すべし。努努空く不レ可レ過ス。又支度計にて過すべか |
Z15_0058B10: | らず。此身は露の命なり。電の間也。若し是に著せ |
Z15_0058B11: | ば往生の大事を。忘るべきが故なり。 |
Z15_0058B12: | 第二に道場を莊るべき樣と者。是に見へたる指圖の |
Z15_0058B13: | 所也。先西晴て日の光りのさし入たる所にて有べき |
Z15_0058B14: | なり。但し是必しも有ん事かたし。若是有增をいは |
Z15_0058B15: | ゞ。或は僧坊又は人の家にても。便宜により洗淨て新 |
Z15_0058B16: | しき物を敷。屛風體の物を立てゝ。則此を以てしつら |
Z15_0058B17: | ひと成すべきなり。さて病者の終らん時は。居所に端 |