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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0041A01: も無始より以來。心の別別に分れ行て。今日まで無量
Z15_0041A02: の苦を加樣に受る也。若是より後。色を見。聲を聞。
Z15_0041A03: 香をかぎ味をなめ。身に觸れ。意の欲はをこるとも。
Z15_0041A04: 六賊が我をたぶらかすぞと知て隨〓ずんば。彼六賊
Z15_0041A05: も又無間の迎も惡業煩惱も力不及。亦魔緣魔界に
Z15_0041A06: もたぶらかされじ。今云所の煩惱には皆知て隨はざ
Z15_0041A07: れと也。是則妄念より生じけりと觀じて心をしづむ
Z15_0041A08: れば。彼六賊は自しづまるなり。譬へば草木の根を
Z15_0041A09: 切ば。枝葉力なくして枯れ失ぬるが如し。さて心しづ
Z15_0041A10: まれば佛に成事。譬へば波しづまれば水と成が如し。
Z15_0041A11: 謂の心の源は佛なり。されば此妄念の濁り止ぬれ
Z15_0041A12: ば。源の佛顯るる也。此心則王となる。王と申は則
Z15_0041A13: 大菩提心なり。大菩提心と申は一切衆生の心なり。
Z15_0041A14: されば若六賊力を失なはば。佛性の威德高く心の覺
Z15_0041A15: り實に明かならん。夫れ惡心を起せば。善心力を失
Z15_0041A16: ひ。善心起れば。惡心力なし。釋摩訶衍論の意を取但し妄念は月
Z15_0041A17: にをほへる雲。鏡にかかる塵の如し。又今來る客人
Z15_0041B01: の心也。此故に隨ふおりは凡夫なり。不隨は本心の
Z15_0041B02: 佛顯るる也。此妄念に迷はされて。佛の利生をも疑
Z15_0041B03: ふ。彼功力のなきには非ず。妄念が信力を失ふ所な
Z15_0041B04: り。譬へば磁石針をすふといへ共。曲れる針をばす
Z15_0041B05: はざるが如し。琥珀塵を取といへども。きたなき塵
Z15_0041B06: をば不取。大海雨露をきらはずと云共。死骸を置事
Z15_0041B07: なきが如し。佛海廣しといへども。心の淨からざる
Z15_0041B08: が故に。きらはれて今迄不覺我等也。心を淨めて入
Z15_0041B09: にし人は佛也。我等耻ても餘あり。願くは彼古跡を
Z15_0041B10: 尋て同じく佛界に入ん。淨名經に曰。
Z15_0041B11: 若求淨土。先淨其心。若心淨者。卽是淨土
Z15_0041B12: 又或所には。
Z15_0041B13: 得道來不動法性   自八正道垂權迹
Z15_0041B14: 皆得解脫苦衆生   故號八幡大菩薩
Z15_0041B15: 加樣に名乘給へども同は心淨からん人の頭には住
Z15_0041B16: ん。若心きたなき人の頭には宿らじとの給るとかや。
Z15_0041B17: 是萬の神佛かやうに仰らるる事あれば。只心を淨

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