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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0040A01: あやまちも有なり。是則數息觀の意なり。實に是を
Z15_0040A02: やむるには其妄念を知て隨〓ざる是なり。或人あひ
Z15_0040A03: 賴たる人の許に後世を助け給へと云つかはしけれ
Z15_0040A04: ば。只此文を書て送たり。又成人は此文を守りに。
Z15_0040A05: せられたりけり。其文と者。龍猛千部の論の中の肝
Z15_0040A06: 心と云る菩提心論に曰。
Z15_0040A07: 妄心若起。知而勿隨。妄若息時。心源空寂[なり]
Z15_0040A08: と云る文なり。此文にて後世はあるべき也。目出度
Z15_0040A09: 文也。去は萬德爰に具し妙用窮りなきと云り。此故
Z15_0040A10: に御覽ぜん人は。是を持て妄念の起らん時は唱へ給
Z15_0040A11: へ。さらば妄念は止べき也。此文の意を先あさきに
Z15_0040A12: 付て可申。譬ば貪欲の弓を引。瞋恚のしもとを持擧
Z15_0040A13: ん時も。其心を知て隨はざれと說給へる也。其故は我
Z15_0040A14: 等が身には夜晝六人の盜人事に觸。時に隨て。ひま
Z15_0040A15: をうかがふ也。一人は色の盜人眼を仲人として來る。
Z15_0040A16: 一人は聲の盜人耳を仲人として來る。一人は香の盜
Z15_0040A17: 人鼻を仲人〓して來る。一人は味の盜人舌を仲人と
Z15_0040B01: して來る。一人は觸の盜人身を仲人として來る。一
Z15_0040B02: 人は法の盜人意を仲人として來てたぶらかす也。是
Z15_0040B03: を六賊とは云なり。此中に意を迷はす盜人是を第一
Z15_0040B04: の大將軍と云ふなり。故に此一心をしづむるれば餘
Z15_0040B05: は皆しづまる也。眷屬なる故に。若し此心をしづめざ
Z15_0040B06: れば。如此六賊所所に經て六根を仲人として。夜晝
Z15_0040B07: をとらじまけじと追來て。纔に得たる菩提の寶を盜
Z15_0040B08: み取て後催し出し行て。見せ聞する處なり。されば
Z15_0040B09: 彼無間地獄の中の月日もなき處にいたりて。いなび
Z15_0040B10: かりの如くなる牛頭馬頭の眼の光を見せ。百千の雷
Z15_0040B11: の如くなる恐しき聲をさかせ。くさく堪がたき香を
Z15_0040B12: かがせ。舌に釘をうたれ。身より焰を出して。我身
Z15_0040B13: を燒或は獄率の責に逢ふ心は誠に是第一のかたきな
Z15_0040B14: りと責らるる事。彼色聲香味觸法の六賊に。たぶらか
Z15_0040B15: さるる故なり。加之惡業の馬頭破戒の羅刹貪欲の惡
Z15_0040B16: 鬼愛欲の虎狼なんどと申も。わが身の眼耳鼻舌身意
Z15_0040B17: の仲人の催に隨故に。菩提の種を皆盜取れて我も人

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