浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0035A01: | に佛道に入と說り。又智論に曰。若人大善利を求んと |
Z15_0035A02: | 思はば實を致して戒を持べし。戒を持てば思事不レ叶 |
Z15_0035A03: | と云事なしと云り。只善惡の二の道へ行ん行くは戒 |
Z15_0035A04: | を持と持ぬにあり。或文に云。諸道の昇沈は戒の持毀 |
Z15_0035A05: | により。見佛不見佛は乘の緩急によると云り。又或 |
Z15_0035A06: | 云設ひ人界に生を得れども。戒を持ざれば是佛の弟 |
Z15_0035A07: | 子に非ず。又菩薩の弟子に非ず。又聲聞の弟子に非 |
Z15_0035A08: | ず。我又彼か師に非ずと放捨給ふ。亦戒を持つ者を梵 |
Z15_0035A09: | 網經に說給ふ樣は。衆生受二佛戒ヲ一つれば卽入二諸佛の |
Z15_0035A10: | 位ニ一位大覺に同じ。已て眞に是諸佛の御子なりと讚給 |
Z15_0035A11: | へり。されば此戒をば世間に威儀たいはいと云ひ。 |
Z15_0035A12: | 出世には律儀と云ふ。此故にさも有人は佛の敎に隨 |
Z15_0035A13: | て戒を持なり。實に是世間出世の守り。戒にすぎた |
Z15_0035A14: | るはなし。誰か心あらん人。戒を持たざらん耶。只 |
Z15_0035A15: | 戒をば貴き僧に遇て。暫なり共持つべし。 |
Z15_0035A16: | 第七に修行を前とすと申は。修行は佛道の爲に成善 |
Z15_0035A17: | 根の名なり。夫れ萬行とて侍べれば。一一に申べきに |
Z15_0035B01: | 堪ず。但しいかなる難行苦行をすれ共。申しつる戒 |
Z15_0035B02: | を持て。其上に菩提心を發すべきなり。譬へば吉福 |
Z15_0035B03: | 地によき種を下して莊嚴すれば彌吉が如し。六論取意ヲ其 |
Z15_0035B04: | 行を略していはば布施と持戒と忍辱と精進と止と觀 |
Z15_0035B05: | と此六なり。布施と申は。我力に隨て諸の衆生の求 |
Z15_0035B06: | る財寶食物衣服などを。人ののぞむに隨て施。人を |
Z15_0035B07: | 令レ悅。亦萬の厄難の恐れ有人を見聞ては。とふらひ |
Z15_0035B08: | なぐさめ心安き事を與るを檀波羅蜜と云なり。次に |
Z15_0035B09: | 持戒と者。前にあらあら申しつるが如し。次に忍辱と |
Z15_0035B10: | 者。人有て我を惱し。惡口を致し。うちはり。若はの |
Z15_0035B11: | り。若は殺害せんとする共。少もあだ敵とも思はず。 |
Z15_0035B12: | 腹を立ず。瞋をなさず。心に報をなさん共思事なく。 |
Z15_0035B13: | 人瞋うたずは何によりてか。我忍辱を持たん。是可レ |
Z15_0035B14: | 然善知識なりとて。彌忍心を起すべき也。次に精進と |
Z15_0035B15: | 云は。諸の善根にをいて少しも懈怠の心なき也。是 |
Z15_0035B16: | を持に依て佛道とする也。次に止と者。萬の事に。 |
Z15_0035B17: | まじはるべき心をとどめ。靜に佛道を修する也。次 |