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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0035A01: に佛道に入と說り。又智論に曰。若人大善利を求んと
Z15_0035A02: 思はば實を致して戒を持べし。戒を持てば思事不
Z15_0035A03: と云事なしと云り。只善惡の二の道へ行ん行くは戒
Z15_0035A04: を持と持ぬにあり。或文に云。諸道の昇沈は戒の持毀
Z15_0035A05: により。見佛不見佛は乘の緩急によると云り。又或
Z15_0035A06: 云設ひ人界に生を得れども。戒を持ざれば是佛の弟
Z15_0035A07: 子に非ず。又菩薩の弟子に非ず。又聲聞の弟子に非
Z15_0035A08: ず。我又彼か師に非ずと放捨給ふ。亦戒を持つ者を梵
Z15_0035A09: 網經に說給ふ樣は。衆生受佛戒つれば卽入諸佛の
Z15_0035A10: 位大覺に同じ。已て眞に是諸佛の御子なりと讚給
Z15_0035A11: へり。されば此戒をば世間に威儀たいはいと云ひ。
Z15_0035A12: 出世には律儀と云ふ。此故にさも有人は佛の敎に隨
Z15_0035A13: て戒を持なり。實に是世間出世の守り。戒にすぎた
Z15_0035A14: るはなし。誰か心あらん人。戒を持たざらん耶。只
Z15_0035A15: 戒をば貴き僧に遇て。暫なり共持つべし。
Z15_0035A16: 第七に修行を前とすと申は。修行は佛道の爲に成善
Z15_0035A17: 根の名なり。夫れ萬行とて侍べれば。一一に申べきに
Z15_0035B01: 堪ず。但しいかなる難行苦行をすれ共。申しつる戒
Z15_0035B02: を持て。其上に菩提心を發すべきなり。譬へば吉福
Z15_0035B03: 地によき種を下して莊嚴すれば彌吉が如し。六論取意
Z15_0035B04: 行を略していはば布施と持戒と忍辱と精進と止と觀
Z15_0035B05: と此六なり。布施と申は。我力に隨て諸の衆生の求
Z15_0035B06: る財寶食物衣服などを。人ののぞむに隨て施。人を
Z15_0035B07: 悅。亦萬の厄難の恐れ有人を見聞ては。とふらひ
Z15_0035B08: なぐさめ心安き事を與るを檀波羅蜜と云なり。次に
Z15_0035B09: 持戒と者。前にあらあら申しつるが如し。次に忍辱と
Z15_0035B10: 者。人有て我を惱し。惡口を致し。うちはり。若はの
Z15_0035B11: り。若は殺害せんとする共。少もあだ敵とも思はず。
Z15_0035B12: 腹を立ず。瞋をなさず。心に報をなさん共思事なく。
Z15_0035B13: 人瞋うたずは何によりてか。我忍辱を持たん。是可
Z15_0035B14: 然善知識なりとて。彌忍心を起すべき也。次に精進と
Z15_0035B15: 云は。諸の善根にをいて少しも懈怠の心なき也。是
Z15_0035B16: を持に依て佛道とする也。次に止と者。萬の事に。
Z15_0035B17: まじはるべき心をとどめ。靜に佛道を修する也。次

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