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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0033A01: 有情輪廻生六道   猶如車輪無始終
Z15_0033A02: 或爲父母爲男女   生生世世互有恩
Z15_0033A03: 佛は加樣に仰られたり。實に彼等が難堪苦を受て賴
Z15_0033A04: む方とては親有ば子あればなんと歎かん所に。たの
Z15_0033A05: む甲斐なく。地獄に落しなば。彼が爲にも情なく。
Z15_0033A06: 亦我身の爲にも益なし。剩へ殺し。或は食し。又は
Z15_0033A07: 惱し苦しむる事あるは。あらうたてき次第なり。さ
Z15_0033A08: れば道心をも發し菩提心をも發さばやと思へ共。よ
Z15_0033A09: しなき世路にほだされて靜なる暇もなし。朝には夜
Z15_0033A10: をこめて急ぎ。夕には星と共にいとなむ程に。罪は
Z15_0033A11: 彌重く成て世を厭ふ心はなし。神に祈り佛に申て浮
Z15_0033A12: 世を厭ふ身と成べき心を發さばやと思ひ侍るべき
Z15_0033A13: に。さも非ず亦何なる人なれば。昔菩提心を發し。
Z15_0033A14: 難行苦行して今佛菩薩といはれて我等を勸給ふに。
Z15_0033A15: 我等いかなれば諸佛の敎に隨はずして。亦終に惡道
Z15_0033A16: に落んとするや。已に難値彌陀の悲願に遇奉て。何
Z15_0033A17: ぞ菩提心を發さゞらん。一念も此心を發しつれば。永
Z15_0033B01: く惡道に不歸。生死の闇晴て菩提の曉に至るべし。
Z15_0033B02: 菩提心を發す功德は。百千の塔を立て三千界に寶を
Z15_0033B03: 充滿て。佛に供養し奉るにも勝れたりと。是偏に寶
Z15_0033B04: のをろか成には非ず。罪には五逆を極めとし。功德
Z15_0033B05: には菩提心を勝れたりとす。一度五逆を造れば。無
Z15_0033B06: 間地獄にをち。一念菩提心を發したらん者は。極樂
Z15_0033B07: 淨土に生るべしと云事を。是只申に非ず。文に曰。
Z15_0033B08: 一念發起菩提心   勝於造立百千塔
Z15_0033B09: 寶塔破壞成微塵   菩提心種成佛道
Z15_0033B10: 第六に佛の制戒を可持者。夫れ佛道を願はんには是
Z15_0033B11: 必あるべき事也。但し戒もしなじなに侍るなれ共。梵
Z15_0033B12: 網經の戒品の意を申べきなり。先戒の初には父母に
Z15_0033B13: 孝養し。師長に仕へ。三寶を供養し奉るべしと云り。
Z15_0033B14: 其十戒の意を略して申さば。一には何にても生ある
Z15_0033B15: ものを不毀こと。二には何にても盜すべからざる
Z15_0033B16: 事。三には何に付ても婬欲を行ずべからず。四には
Z15_0033B17: 何事に付ても空事を不云事。五には酒をうり亦の

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