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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0032A01: んとのたまへり。殊に女人は彌陀の悲願を憑奉て往
Z15_0032A02: 生を遂べきなり。其故は悲花經に曰。昔此世界を散
Z15_0032A03: 提蘭國と名く。其時に國王御坐き。御名をば無上念
Z15_0032A04: 王と申き。彼王法藏佛に逢奉て誓を立て曰。我佛に
Z15_0032A05: 成たらんに。十方世界の女人我名を聞て菩提心を發
Z15_0032A06: して念佛せば。女身を轉じて往生せしめんと宣へり。
Z15_0032A07: 然るに彼無上念王と申は今の阿彌陀佛なり。爰に知
Z15_0032A08: ぬ。發心發願偏に此世界にましますをや。我等一界
Z15_0032A09: に生を受し間に。或は父母となり。或は夫妻となり。
Z15_0032A10: 或は師長と成。或は同行と成。或は親と成。子とな
Z15_0032A11: り。生生世世互に恩ありき。しづかに昔の緣を思へ
Z15_0032A12: ば。悲の淚をさへがたし。設ひ一念なりと云共。何
Z15_0032A13: んぞ引攝を疑はん。十因意大方彌陀の誓ひには。濁世末
Z15_0032A14: 代の衆生を本とす。旣に機感此時に當れり。極〓惡
Z15_0032A15: 人を捨ざれば。破戒の我等も賴あり。されば文に曰。
Z15_0032A16: 極重惡人。無他方便。唯稱彌陀。得生極樂
Z15_0032A17:    南無阿彌陀佛   十念
Z15_0032B01: 第五に菩提心を發すと者。是佛道の本意なり。旣に
Z15_0032B02: 佛にならむと思ふ心なるが故に。但し菩提心にも敎
Z15_0032B03: に隨て淺深あり。雖然詮ずる所は上求菩提下化衆生
Z15_0032B04: の二なり。其上求菩提と申は。上佛道を求る心也。
Z15_0032B05: 下化衆生と云は。一切衆生を悉く度する心なり。又菩
Z15_0032B06: 提の慈悲と申すは。一切の人にをいて有緣無緣をい
Z15_0032B07: はず。我獨り子の樣に哀みをなす心也。昔此心を發し
Z15_0032B08: たりし人。今の佛といはれ給ふ也。されば菩提の慈
Z15_0032B09: 悲を發さゞらん者は。佛に不成。六道の衆生は是
Z15_0032B10: 餘所の者に非ず。我等が生生世世に此彼にて互に生
Z15_0032B11: あひし父母。若は兄弟親類。此外相見し人皆さきの
Z15_0032B12: 世の親き人人なり。法門聖敎と申は佛の敎に隨て佛
Z15_0032B13: 道を成じて人を救へとこそ侍るとかや。實に彼聖敎
Z15_0032B14: をば不覺ども。生死無常の理は僞りなければ。など
Z15_0032B15: か無常の理を觀じて穢土を厭ひ。極樂を欣はざらん
Z15_0032B16: や。六道の衆生は是皆遠き父母親類なれば。爭でか
Z15_0032B17: 憐まざらん耶。心地觀經に曰。

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