浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0028A01: | 生るる事は大地の土の如し。亦同くまれなる事は天 |
Z15_0028A02: | 上より絲を下して大海の底にある針の耳に貫くが如 |
Z15_0028A03: | しと云り。是則無間の焰難レ堪。紅蓮の氷忍がたかり |
Z15_0028A04: | し處より纔に出て。今件の形を中宿にして只しばし |
Z15_0028A05: | 休む程也。是故に我等息をもつきあへず。歎くべき所 |
Z15_0028A06: | に還て悅をなして。諸の罪を造る事愚なり。されば |
Z15_0028A07: | 大論に曰。無常は已に近く。佛法は滅しなんとす。急 |
Z15_0028A08: | 急に常に自か心を驚かせと云り。又法華經に云。 |
Z15_0028A09: | 三界無安。猶如火宅。衆苦充滿。甚可怖畏矣 |
Z15_0028A10: | 文の意は三界は安き事なし。諸の苦み充滿して尙し |
Z15_0028A11: | 燒る家の如し。甚怖れても恐るべきと也。 |
Z15_0028A12: | 第二に信心を可レ發と者。夫穢土を厭ひ淨土を欣ふべ |
Z15_0028A13: | しと仰せられたる三寳の敎へを信ずるなり。唯世間 |
Z15_0028A14: | 出世共に信を以て德とすと云が如し。何の神佛にも |
Z15_0028A15: | 一心に後世を申せば其憐の餘りには。必今生の利 |
Z15_0028A16: | 生までもありと云。先遠からぬ事あらば也。去ばや |
Z15_0028A17: | らん或人は憑しく思はん知識に能能近付て其示ん樣 |
Z15_0028B01: | を信じて。佛道には可レ入なりとぞ云はれける。加之 |
Z15_0028B02: | 大論に曰。佛法の大海には信を以て能入ぞと敎へ。 |
Z15_0028B03: | 𣵀槃經には信心を以て佛に成る種なりと說。或經に |
Z15_0028B04: | は萬の如來は皆信より出給へる也と云り。是故に一 |
Z15_0028B05: | 切の佛法にをいて背く心なく。仰て信じ深く敬ふべ |
Z15_0028B06: | きなり。實に信なき人は冥顯に恐れあり。現當に其 |
Z15_0028B07: | 益なし。心地觀經に曰。 |
Z15_0028B08: | 法寶甘露妙良藥 能治一切煩惱病 |
Z15_0028B09: | 有信服藥證菩提 無信隨緣墮惡道矣 |
Z15_0028B10: | 文の意は佛の敎へ目出度藥なり。能能萬の煩惱の病 |
Z15_0028B11: | を失ふ。信有て其藥りを用れば佛に成事最易し。信 |
Z15_0028B12: | なくして緣に隨へば惡道に落るなりと。云云 |
Z15_0028B13: | 第三に極樂を可レ欣と者。觀經に曰か如し。上品中品 |
Z15_0028B14: | 下品に各上中下を分て。人を漏さじと九ノ品あり。極 |
Z15_0028B15: | 樂のしるべには此經に如はなしとぞ善導和尙も云 |
Z15_0028B16: | り。又此人を極樂の先達なりと云り。故に彼經の意 |
Z15_0028B17: | により。此人の敎へに付てあらあら申べき也。但し |