ウィンドウを閉じる

Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0028A01: 生るる事は大地の土の如し。亦同くまれなる事は天
Z15_0028A02: 上より絲を下して大海の底にある針の耳に貫くが如
Z15_0028A03: しと云り。是則無間の焰難堪。紅蓮の氷忍がたかり
Z15_0028A04: し處より纔に出て。今件の形を中宿にして只しばし
Z15_0028A05: 休む程也。是故に我等息をもつきあへず。歎くべき所
Z15_0028A06: に還て悅をなして。諸の罪を造る事愚なり。されば
Z15_0028A07: 大論に曰。無常は已に近く。佛法は滅しなんとす。急
Z15_0028A08: 急に常に自か心を驚かせと云り。又法華經に云。
Z15_0028A09: 三界無安。猶如火宅。衆苦充滿。甚可怖畏
Z15_0028A10: 文の意は三界は安き事なし。諸の苦み充滿して尙し
Z15_0028A11: 燒る家の如し。甚怖れても恐るべきと也。
Z15_0028A12: 第二に信心を可發と者。夫穢土を厭ひ淨土を欣ふべ
Z15_0028A13: しと仰せられたる三寳の敎へを信ずるなり。唯世間
Z15_0028A14: 出世共に信を以て德とすと云が如し。何の神佛にも
Z15_0028A15: 一心に後世を申せば其憐の餘りには。必今生の利
Z15_0028A16: 生までもありと云。先遠からぬ事あらば也。去ばや
Z15_0028A17: らん或人は憑しく思はん知識に能能近付て其示ん樣
Z15_0028B01: を信じて。佛道には可入なりとぞ云はれける。加之
Z15_0028B02: 大論に曰。佛法の大海には信を以て能入ぞと敎へ。
Z15_0028B03: 𣵀槃經には信心を以て佛に成る種なりと說。或經に
Z15_0028B04: は萬の如來は皆信より出給へる也と云り。是故に一
Z15_0028B05: 切の佛法にをいて背く心なく。仰て信じ深く敬ふべ
Z15_0028B06: きなり。實に信なき人は冥顯に恐れあり。現當に其
Z15_0028B07: 益なし。心地觀經に曰。
Z15_0028B08: 法寶甘露妙良藥   能治一切煩惱病
Z15_0028B09: 有信服藥證菩提   無信隨緣墮惡道
Z15_0028B10: 文の意は佛の敎へ目出度藥なり。能能萬の煩惱の病
Z15_0028B11: を失ふ。信有て其藥りを用れば佛に成事最易し。信
Z15_0028B12: なくして緣に隨へば惡道に落るなりと。云云
Z15_0028B13: 第三に極樂を可欣と者。觀經に曰か如し。上品中品
Z15_0028B14: 下品に各上中下を分て。人を漏さじと九品あり。極
Z15_0028B15: 樂のしるべには此經に(シク)はなしとぞ善導和尙も云
Z15_0028B16: り。又此人を極樂の先達なりと云り。故に彼經の意
Z15_0028B17: により。此人の敎へに付てあらあら申べき也。但し

ウィンドウを閉じる