浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0023A01: | の善根をば折々堪んに隨てなすべし。此眞言をば末 |
Z15_0023A02: | の世までも怠るべからず。此方法を以て一寺の僧徙 |
Z15_0023A03: | なんどに付て每日に廿一遍滿させ給へ。孝養の爲に |
Z15_0023A04: | は七珍萬寳をなげ盡すよりも勝れたと佛も仰られた |
Z15_0023A05: | り。彼眞言をほめ給へり。是程の孝養はあるべから |
Z15_0023A06: | ず。亦一日に法華經を書て供養するは目出度事と申 |
Z15_0023A07: | 傳へたり。昔女人ありき。一人の子を儲て僧になし |
Z15_0023A08: | て。後世を弔はれんと思ひ取て。山寺へ登するとて。 |
Z15_0023A09: | 汝とくとく僧に成て袈裟かけたらん姿を我に見せよ |
Z15_0023A10: | と云て登せられけり。樣樣物を習ひなんどして僧に |
Z15_0023A11: | 成て見せん事を思ひて下りき。母を尋ければ今日は |
Z15_0023A12: | 死て七日に成ぬ。生死無常の情なさは早失給ひきと |
Z15_0023A13: | ぞ答申ける。かけたる袈裟を見すべき母もなければ |
Z15_0023A14: | 其悲にしづみつゝ。臂をくだきて學問しける程に。神 |
Z15_0023A15: | 通を得たる程にも成にけり。其時に閻魔王宮に法會 |
Z15_0023A16: | ありて彼人を導師に請じ給ふ。請ずるにかなひて至 |
Z15_0023A17: | りぬ。亦法を說事閻魔王の肝に染ければ。布施は七 |
Z15_0023B01: | 珍萬寶の數を知事なかりけり。時に彼僧御布施をば |
Z15_0023B02: | 給はらじ。可レ申旨ありと奏す。時に閻魔王氣色違け |
Z15_0023B03: | れば。千萬の獄率もけしき荒く見えけれども。此母の |
Z15_0023B04: | 忍難事を一一に申て今日の御布施には。彼母の生所 |
Z15_0023B05: | を承て一目見んと申す。かく申に任せて冥官を以て |
Z15_0023B06: | かんがえられければ。焦熱地獄とかんがえ申。彼へ |
Z15_0023B07: | しるべを給はりて行けり。未タ二行著一地獄の方を見けれ |
Z15_0023B08: | ば。大成山のもゆるが如焰あがりて見ゆ。母を悲に非 |
Z15_0023B09: | んば向ふべき心地もせざりけれ共。命を不レ顧して行 |
Z15_0023B10: | に地獄の焰にも不レ燒して事なく近付ければ。閻魔王 |
Z15_0023B11: | の使地獄の門を叩きて。樣樣宣旨なりと云ければ。 |
Z15_0023B12: | 暫あらせて鉾の前にすみの樣なる物を貫きてぞ指擧 |
Z15_0023B13: | たりける。此人願は本の形を見侍んと云ければ。獄 |
Z15_0023B14: | 率活活と唱へき本の形に成ぬ。是を見に目くれ心消 |
Z15_0023B15: | て泪にむせびつつ。昔見せよと宣ひし所の袈裟かけ |
Z15_0023B16: | たる後かくなんと見せ申けるを。獄率又罪人の隙延 |
Z15_0023B17: | ぬと云て巖なんどを投る樣に。〓て地獄にぞをとし |