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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0019A01: し對面して貴敬なり。天上に生るる十の相と者。一に
Z15_0019A02: は憐愍の心を發す。二には善心を發す。三には歡喜の
Z15_0019A03: 心を發す。四には正念前に顯る。五には色色の穢はし
Z15_0019A04: くくさき事なし。六には鼻ゆがみそばたつ事なし。
Z15_0019A05: 七には心に腹立る事なし。八には家の財物妻子眷屬
Z15_0019A06: を心にかけ不愛不惜九には眼の色淸淨なり。十には
Z15_0019A07: 顏をあぼけて咲を含て天人の來て我を迎る事を見る
Z15_0019A08: 也。經文略して如此。但修羅道の相は是に見えず。
Z15_0019A09: 餓鬼畜生の類にをさむる歟。又正法念經に曰。功德
Z15_0019A10: を造て然も軍をして死する者は修羅の相なりと云り
Z15_0019A11: 亦大威德經に曰。身の皮切ただれ血なんどにあえば。
Z15_0019A12: 地獄の相なりと可知。亦玄義の三の卷に金光明經を
Z15_0019A13: 引て曰。惡の友に殺るる人は必地獄に墮へしといへ
Z15_0019A14: り。されば此世を能能愼んて後世をばとるべきにこ
Z15_0019A15: そ。或人の云。抑人に殺されし者の必地獄へ行は。
Z15_0019A16: 提婆菩薩等の人。堅誓師子などと云し獸。人に殺れ
Z15_0019A17: しいつか地獄に墮たる。答て曰其實に尋たり。但大
Z15_0019B01: 菩提心を發したりし人人の事なり。天竺震旦の事を
Z15_0019B02: 聞くに。未來惡世の凡夫。況惡を作て人に殺れん事
Z15_0019B03: を。彼譬喩を引て是を疑んや。只よくよく後世を問給
Z15_0019B04: へ。左樣の事を少智は菩提の妨とは申なり。正法念經
Z15_0019B05: 梵網經などの心をよくよくみるべし。又瑜伽論には
Z15_0019B06: 狂亂に上中下あり。然は上中下まで別少しも心亂れ
Z15_0019B07: ば卽惡道の相なりといへり。人に殺れん物何んか少
Z15_0019B08: も心亂ざらん。亂れば卽彼へ落ざらんや。總して惡業
Z15_0019B09: 成しぬれば臨終の時に其果を感じて。方に迷ひ苦ま
Z15_0019B10: む。但如此等の惡相は兼て顯るといへ共。最後の時
Z15_0019B11: 用心して十念唱へたらん者は極樂に生るべしと見へ
Z15_0019B12: たり。亦兼て閑なりとも終る時此相を顯は全たがふ
Z15_0019B13: べからず。佛の說給へるが故に。是正く見んと思はん
Z15_0019B14: 人は彼經論を可見。さては人の事をも見。各因果を
Z15_0019B15: 知べき也。因果とは吾身の當時の有樣を以て去方行
Z15_0019B16: 末を知る理なり。何か知と云は。經に曰。若人若くし
Z15_0019B17: て樂く老て貧きは先世に若かりし時。功德を作て老

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