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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0017A01: 例せん。彼忉利天の如きは樂み極りなしといへ共。
Z15_0017A02: 命の終時に臨て五衰の相現す。五衰と者一には頭の
Z15_0017A03: 華かつら忽にしぼみ。二には天衣塵垢にけがる。三
Z15_0017A04: には脇の下より汗出。四には二の目しばしばまじろ
Z15_0017A05: く。五には本の居所を不願。此相現ずる時天女眷屬
Z15_0017A06: 悉く是を捨る事草木の如くす。林の間に捨られて悲
Z15_0017A07: み歎きて云。此諸の天女は我常に哀みき。何ぞ一旦に
Z15_0017A08: 我を捨る。今憑方なし。喜見城の內をも別れ。觀喜
Z15_0017A09: 苑の中にも遊ばず。又四種の甘露も忽に食する事を
Z15_0017A10: ゑず。五妙の音樂も俄に聞事をたちつ。悲しき哉吾
Z15_0017A11: 獨り此苦にかかれり。憐みを垂て。我命を救て。少
Z15_0017A12: しの日を延ば。亦樂まざらんやと云とも救者なし。
Z15_0017A13: 知此苦は地獄の苦よりも甚し。故に天上も又可
Z15_0017A14: 厭。正法念經に曰。
Z15_0017A15: 天上欲退時。心生大苦惱。地獄衆苦患。十六不及一
Z15_0017A16: 文の意は天上より退せんとする時。心に大苦惱を成
Z15_0017A17: す事。地獄の苦み十六か一にも及ばずと云り。又天
Z15_0017B01: 上の色無色界の中には如此苦みなしと云共。其にも
Z15_0017B02: 退沒の苦遁る事なし。大方三界の安所なし。六道の
Z15_0017B03: 中には天上の樂極りなしと云共。彼大梵天の深禪定
Z15_0017B04: の樂も。終には奈落の苦に隨ふ。非想天の八萬劫の
Z15_0017B05: 命も阿鼻地獄を不免。是何れの所か樂みなる。され
Z15_0017B06: ば法華經に曰。
Z15_0017B07: 見六道衆生。貧窮無福慧。入生死嶮道。相續苦不斷
Z15_0017B08: 此文の意は六道の衆生を見るに。貧窮にして福慧な
Z15_0017B09: し。生死の嶮き道に入て相つぎて。苦みたえすと。
Z15_0017B10: 已上六道の相略して如十住心論往生要集等の意を取。是我
Z15_0017B11: 等が昔より以來。劫を經て生死廻りありく事。譬は
Z15_0017B12: 車の輪の如くなれば。輪廻といふ。生るる事を生と
Z15_0017B13: 云。死する事を死と云。故に是を略して輪廻生死と
Z15_0017B14: 申也。此彼に幾度か生れ幾度か死し。何なる悲をか
Z15_0017B15: 受し。され共不知。是をまよひの凡夫と申なり。是
Z15_0017B16: を搆て厭はせ可給と云云
Z15_0017B17: 第十に終人を六道には何の處に可生と。知相を明さ

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