浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0016A01: | 智者常懷憂。猶如獄中囚。愚人常歡樂。猶如光音天文 |
Z15_0016A02: | 此文の意は。智者は常にうれひを懷事。ひとやの中に |
Z15_0016A03: | 囚れたるに似たり。愚人は常に樂を成す。事天上の如 |
Z15_0016A04: | しと云云。三には無常の相と者。萬の事は皆遁る事あ |
Z15_0016A05: | りと云共。無常の一は長く不レ可レ遁。經に曰。其人の命 |
Z15_0016A06: | のとどまらざる事は山の水よりも過たり。今日はあ |
Z15_0016A07: | りと云共明日迄は亦難レ持。何ぞ心を恣にして惡意に |
Z15_0016A08: | 住せん哉と云へり。實に無常の責るには更に退く方 |
Z15_0016A09: | もなく。迯去に亦處なし。我も人も貴きも賤きも何れ |
Z15_0016A10: | も更に遁る事あらず。何ぞ一生を徒にせんや。明日 |
Z15_0016A11: | を待にあたはず。樹しづかならんとすれ共風止は不レ |
Z15_0016A12: | 靜。子は養はんとすれ共親は不レ待と云り。殊に哀な |
Z15_0016A13: | る哉無常の理。齡を譬ふれば。秋の木の葉に似たり。 |
Z15_0016A14: | 命を論ずれば朝の露にことならず。籬の中の菊も霜 |
Z15_0016A15: | に隨て色を變じ。草の上葉に結ぶ露も日の光に當て |
Z15_0016A16: | 消失ぬ。形には常の主なし。主別れば家あばる。魂に |
Z15_0016A17: | は常の家なし。籠破ぬれば鳥飛失ぬ。實に理なる哉 |
Z15_0016B01: | 形を背て冥途へ行人は。多百千劫焰の中に悲。さび |
Z15_0016B02: | しき宿に留まる人は空き床にひとり臥てぞ哀はまさ |
Z15_0016B03: | る。如何せん。をしき人も。とどまらず。悲我身も不レ |
Z15_0016B04: | 可レ殘。只華の色を見ても我身を觀ぜよ。諸行無常是 |
Z15_0016B05: | 生滅法といへる故に。月の前にしても心を靜よ。生滅 |
Z15_0016B06: | 滅已寂滅爲樂とあればなり。返返只出息は入息を不レ |
Z15_0016B07: | 待事を。急で日夜に佛法に歸依し。無常の步步に近 |
Z15_0016B08: | づく事を恐て偏に淨土を願ひ給ふべき也。昔佛𣵀槃 |
Z15_0016B09: | に入給ひし事を餘りに母の悲給ければ。釋尊宣はく。 |
Z15_0016B10: | 諸佛雖滅度。法僧寶常住。願母莫憂愁。諦觀無常行矣 |
Z15_0016B11: | 此文の意は諸佛は滅すといへ共。法僧寶は常にあり。 |
Z15_0016B12: | 願は母愁る事なかれ。明に無常の行を思しろしめせ |
Z15_0016B13: | とぞ仰られける。中にも人道は今住なれて執心ある |
Z15_0016B14: | 所なり。明に無常を觀じて必此度厭ひ給ふべし。 |
Z15_0016B15: | 第九に天人の五衰の相をあかさば。是に三あり。一 |
Z15_0016B16: | には欲界天。二には色界天。三には無色界天なり。其 |
Z15_0016B17: | 相廣して具に明しがたし。且く一所を明して其餘を |