浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z15_0015A01: | 氣。亦は山神海神の過目。土公疫癘の祟。或は行住 |
Z15_0015A02: | 坐臥に付。內外自他にふれて都て安き事なし。加之 |
Z15_0015A03: | 病に死を招き。病に依て老も近付。其外に或は弓箭 |
Z15_0015A04: | 兵杖のをそれ。刀劒鉾刄のあやまち。皆是病苦の一 |
Z15_0015A05: | 也。四には死苦と者。凡一切の有情は地水火風の四 |
Z15_0015A06: | 大の成所なり。旣に最後に趣きぬれば。四大分分に |
Z15_0015A07: | さけ破。五體一一に離去。水大別て去ときは身分悉 |
Z15_0015A08: | くひえこほり。風大はなれ去ときは口鼻より出處の |
Z15_0015A09: | 息を持がたし。是具に彼苦を受るとき思合べし。五 |
Z15_0015A10: | には別の苦と者。別を惜み契を惜む苦。是殊になさけ |
Z15_0015A11: | なき苦なり。其故は春の朝には共に花を翫ひ。秋の |
Z15_0015A12: | 夕には圓月を詠じ。つかの間も見ざれば心をいたま |
Z15_0015A13: | しめ。亦兼てわかれを惜む中なりと云共。只一時に其 |
Z15_0015A14: | 情を先だつて淚を友とす。誠に人の身に歎きても甲 |
Z15_0015A15: | 斐なく。恨ても叶がたきは。別の苦の成所なり。是 |
Z15_0015A16: | を愛別離苦とは申也。六には怨敵有苦なり。人とな |
Z15_0015A17: | る日は。大小に付て若は敵きあるを不レ知人はあれど |
Z15_0015B01: | も。內外に付て怨敵なき人はなし。是を怨憎會苦と |
Z15_0015B02: | 申也。七には求不得苦と者。是は殊にうたてしき苦 |
Z15_0015B03: | なり。是故に佛死苦をば受るとも。貧苦をば不レ可〓レ受 |
Z15_0015B04: | と仰られたる也。實に世間の人の世にあるならひ。 |
Z15_0015B05: | 官位萬の事に付て心に物の叶ふ事なし。耻を思んと |
Z15_0015B06: | する程に。三惡道の罪を造るなり。是を求不得苦と |
Z15_0015B07: | 申なり。八には五蘊盛苦と者佛にならぬ。程は五體 |
Z15_0015B08: | 不調なる故に身心共に苦みて安事なし。其故は地の |
Z15_0015B09: | 下に入てもあられず。水に人れば漂ひ。火に近けば |
Z15_0015B10: | 燒。風にあたるも病と成。空より落ても損ずる也。さ |
Z15_0015B11: | ればと云て是を離ては一時も命ある事なし。此故に |
Z15_0015B12: | 太刀刀と申す萬のをそれ侍なり。かかる危き身を受 |
Z15_0015B13: | て。愚なる人は命をつぐを樂と名づけ。耻を隱して榮 |
Z15_0015B14: | 華と思へり。凡人間の苦にをいては述るに非レ暇。日 |
Z15_0015B15: | を追て言に計なし。然共心ある人は各身に知れたる |
Z15_0015B16: | 事なるべし。是を亦何の益があると云ば。此身の厭 |
Z15_0015B17: | はしく成て。佛身を願はしき也。されば經に曰。 |