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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0014A01: には觀念がいみじき事にて侍るなり。文に云。
Z15_0014A02: 未見此相。愛染甚强。若見此已。欲心都罷
Z15_0014A03: 文の意は未此相を不見には心に愛する事甚つよし。
Z15_0014A04: 若是を見をはりぬれば。欲心都てやみぬと。云云次に
Z15_0014A05: 苦の相と者。人の身に萬の苦みありといへ共。都て
Z15_0014A06: 申は八苦なり。一には人界に生を受るには先二百六
Z15_0014A07: 十餘箇日の間母の腹の中につつまれ纒されて。月滿
Z15_0014A08: 日定て生るる時は生たる牛の皮を。はぎていばらか
Z15_0014A09: らたちに當るが如し。是を生苦と云。二には老苦と
Z15_0014A10: 者。年のよる苦也。古へ見なれし友はすくなく成て。
Z15_0014A11: 出來人には。うとみ隔てられ。亦漸盛も過ぬれば。身
Z15_0014A12: も力も衰へ。腰膝も弱く。或は目もくもり。耳もうと
Z15_0014A13: く。齒もをちて。頭の毛も白くなり。萬の病もをこり
Z15_0014A14: 安く。或は醫師にあひ。或は炙をすれ共。朽木に釘
Z15_0014A15: をうつが如し。亦死も近付やすし。是皆老苦の至る
Z15_0014A16: 處なり。三には病苦と者。諸の病の苦也。其に取て
Z15_0014A17: 病に內外を分つ。內と云ふは心の病貪瞋癡なり。外
Z15_0014B01: は四百四病の病なれば。具に申がたし。略して云ば。
Z15_0014B02: 人の病をば顧みね共。我身に病を受る時には。痛堪
Z15_0014B03: へ難して。冷き水もあつく覺。甘き昧もにがくなり。
Z15_0014B04: 亦心つかれ身不淨にして。獨臥たる時には。萬歲の
Z15_0014B05: 契を成し。人は鼻ををさへて去。千秋の語ひをなす
Z15_0014B06: 人も形を隱して情なし。若來見れ共我身の苦やすま
Z15_0014B07: る事なし。遲遲たる春の日暮し難く。漫漫たる秋の
Z15_0014B08: 夜明しがたし。是に付ても地獄の苦を思遣て往生の
Z15_0014B09: いとなみをせざる人は。後世もたのみなし。心細く
Z15_0014B10: して只露の命の消ん時を待。是を病苦と云。亦病に
Z15_0014B11: 三の品あり。一には四大の病。謂地水火風の四。四
Z15_0014B12: 季の轉變に隨て六腑五臟の寒熱の時節相違して。を
Z15_0014B13: こる所の病なり。二には業病。謂過去の宿因にこた
Z15_0014B14: えて受る處の病なり。或は殺生の過。或は人をなやま
Z15_0014B15: し物を禁人の愁を蒙り。人のなげきを不顧。物の哀
Z15_0014B16: を不辨類。かかる往因に依て受を業病と云なり。三
Z15_0014B17: には鬼病。謂人の呪咀或は天魔のなやまし。惡靈邪

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