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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0013A01: 月のなす處に非ず。我等が不孝不善なる故に。諸天
Z15_0013A02: 善神の力を失ひ給ふ也。
Z15_0013A03: 第八に人間の八苦の相と者。是に三の相あり。一に
Z15_0013A04: は不淨の相。二には苦の相。三には無常の相なり。不
Z15_0013A05: 淨の相と者。凡人の身に三百六十の骨あり。足の指
Z15_0013A06: よりして頭の骨迄。一一に相ささえたり。此上に五
Z15_0013A07: 百分の肉尙泥をぬりたるが如し。二十五の息の出る
Z15_0013A08: 筋。猶し窻の間の如し。一百七のをこつりあり。亦八
Z15_0013A09: 萬の毛あり。亂れたる草の覆るが如し。亦三百六十
Z15_0013A10: の血の筋あり。其中に三升の血ながれ。しただる。
Z15_0013A11: 亦九十九萬の穴あり。此より常に汗を出す。亦九重の
Z15_0013A12: 皮其上をつつみたり。腹の中には六腑五臟色色にし
Z15_0013A13: て。長き短きあり。其中に諸の大小の蟲集れり。加
Z15_0013A14: 之大小便かすはき鼻たり。うみしる足の爪より頭の
Z15_0013A15: かみに至る迄。內外に何か不淨ならぬ所ある。大方
Z15_0013A16: 九の穴より色色に出る不淨ありのままに顯しみせん
Z15_0013A17: には。をもはしき中と云事あるべからず。其をば隱
Z15_0013B01: して。そぞろなる草の汁蟲の絲なんどを以をり。色
Z15_0013B02: 色に染たる物をかづき。けづらふ姿に眼をまどはさ
Z15_0013B03: れて著をなす事。譬はいろどり繪かきたるかめに糞
Z15_0013B04: 穢を入て愛するが如し。是故に大海をかたぶけて洗
Z15_0013B05: 共。盡る事不有と云り。況命盡て後塚の邊り。野
Z15_0013B06: のあたりに捨られて一日二日乃至十日なんど過ぬれ
Z15_0013B07: ば。やさしき體もうとましく。白き膚もあをくなり。
Z15_0013B08: 赤き脣も黑くなり。六腑五臟亂あひて。くされる中に
Z15_0013B09: は蟲うぐめきわきかへる。上には靑きはい集つて肪
Z15_0013B10: 脹爛壞たる姿。きたない事は死したる犬にも過。恐
Z15_0013B11: しき事は偏へに鬼にことならず。然ば親きも疎きも。
Z15_0013B12: 顏に袖を覆て迯去。近付者とては犬馬集て眼をぬい
Z15_0013B13: て東西へ飛去き。足をくはえて南北に走去。有と知
Z15_0013B14: 所をば彼こそと指をさす計なり。是皆人ごとに。そ
Z15_0013B15: なはる事なれば我と云人と云も。かかる者のよりあ
Z15_0013B16: ひて。或は上下を論じ。或はたはふれ誇ぞ愚也。只
Z15_0013B17: かかる不淨を知て是何の益か有と云ば。佛道に至る

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