ウィンドウを閉じる

Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0011A01: 事なし。但し少き物をも分て施し。甘き味ひの物を
Z15_0011A02: もさいて人に與ふれば加樣の災難を遁ると云り。
Z15_0011A03: 第六に畜生道の悲ひの相と者。其住所二あり。根本
Z15_0011A04: は大海にすむ。末末は人天に交はれり。分て明さば
Z15_0011A05: 三十四億の類あり。總して云ば三なり。一には鳥の
Z15_0011A06: 類。二には獸の類。三には蟲の類也。此等の類殘害
Z15_0011A07: の苦ひ難忍。大象の地にかける末獅子王のをそれを
Z15_0011A08: まぬかれず。毒龍の海にわだかまれる猶金翅鳥の難
Z15_0011A09: をはなれず。雉は亦鷹のためにとられ。蟇は蛇の爲
Z15_0011A10: に呑る。何か殘害をまぬがるるや。互に若は呑み若は
Z15_0011A11: 食して暫くも安き時なし。水にすむ魚は。すなどり
Z15_0011A12: のために害せられ。陸に行く類は人の爲に害せらる。
Z15_0011A13: 少は大なる爲にくらはれ。短きは長がために呑る。
Z15_0011A14: 其あやまち無と云共。或は羽の紋毛のまだら。肉の味
Z15_0011A15: ひの爲に人に殺る。此故に命の恐ひまなし。又人に
Z15_0011A16: 近付馬牛なんどは鐵を其身にうたれ。口にはげられ
Z15_0011A17: 鼻をうがちあけられて。其身常に重き荷を駄て打責
Z15_0011B01: らる加之切爛破疲極し病を受たる上にも。あへて憐
Z15_0011B02: みなし。常には繩を付られて行んと思ふ所へも不
Z15_0011B03: 行。草水のほしき思切なりといへ共。心にまかせず。
Z15_0011B04: 或は闇地の下に生れて月日の光も不見。或は海の底
Z15_0011B05: に生を受て佛法の名字を聞く事もなければ。三惡道
Z15_0011B06: を可出期なし。設心ある大海の龍王なりと云共。一
Z15_0011B07: 日に。三度の苦を不免。命をいへば。或は一時或は七
Z15_0011B08: 時乃至一中劫を經て無量の苦を受るもあり。亦如何
Z15_0011B09: なる罪を作て此報を受と云は。三寶の敎へをも背き。
Z15_0011B10: 或は父母に不孝なる人。或は恩ある人を輕め善惡を
Z15_0011B11: わきまえず。亦諸の罪を作り破戒無慚にして徒に人
Z15_0011B12: の物を受喰ひ。或は道理を失て妄りなる事を好み。
Z15_0011B13: 或は由なき思に心を留て命を捨る人なり。大方聖敎
Z15_0011B14: に背き。若は人の許さぬ物を取たる人。此報を受と
Z15_0011B15: 云り。猶罪の重き輕きに依て後に。此畜生道より地
Z15_0011B16: 獄に墮る者あり。かかる故に。此惡道を正く厭可
Z15_0011B17: 十住心論に曰。

ウィンドウを閉じる