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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0010A01: たり云へ共。水更になし。呑んとするに猛火となり。
Z15_0010A02: 其所きはめて熱し彼この冬の日を以て人間の夏にく
Z15_0010A03: らぶるに。過たる事千倍なり。只朝の露を以て命をか
Z15_0010A04: けたり。水の邊に住といへ共彼が爲には焰と見るな
Z15_0010A05: り。昔道を行人の病を受つがれたるに。其財物を取
Z15_0010A06: るは少しのあたひを與へて取者此報を受。或は鬼あ
Z15_0010A07: り常に塚の間に至て人を燒火し喰ふに足ぬする事な
Z15_0010A08: し。昔籠をあづかつて人の飮食を取者此報を受。或は
Z15_0010A09: 鬼あり樹の中に生れて身を責らるる事。とくさが蟲
Z15_0010A10: の如し。昔僧坊の林をきる者此報を受。正法念經取意或鬼あ
Z15_0010A11: り。頭のかみ垂下つて。身をまとへり。其かみ刀の
Z15_0010A12: 如して其身をさし切。或は鬼あり晝夜に各五の子を
Z15_0010A13: 生むに隨て是を食するに。猶常に飢乏す。六波羅蜜經取意也復自
Z15_0010A14: 頭をわつて腦を取て食す。或鬼あり。糞すすばな。う
Z15_0010A15: みしる。血。又器を洗るのこりを食して命をかけり。
Z15_0010A16: 智度論取意或は鬼あり腹大なる事たいこの如し。咽足手
Z15_0010A17: の細き事針の如し。物を喰ふ事不叶。昔所領の主じ
Z15_0010B01: と成て威勢にほこり。酒を呑み。人を輕め人の食物を
Z15_0010B02: 奪取。人をうやし殺せし故に此報を受。或は鬼あり。
Z15_0010B03: 常に二の鐵の輪兩のわきの下にありて。身を廻して
Z15_0010B04: 燒なやます。昔衆僧の爲に餅をなすに盜受て兩の脇
Z15_0010B05: にはさみし故に此報を受。又鬼あり物を以て常に頭
Z15_0010B06: をいこめ。又常に人來て我を殺し事を恐て。心に常に
Z15_0010B07: 恐をなす。昔婬犯して人見ん事を恐。或は其夫とらえ
Z15_0010B08: 殺ん事を恐て。內外に心を盡す故に此報を受雜寶藏經取意
Z15_0010B09: 亦人間の一月を以て一日として年月成して。命五百
Z15_0010B10: 年。種類三十六に別れたり。一切の餓鬼は。慳貪嫉
Z15_0010B11: 妬の因緣による十住心論に云
Z15_0010B12: 慳心不散財。定感餓身來。涕唾無自在。臨河焰火開。前
Z15_0010B13: 年可摘色。骨立面如灰。今日寒枯樹。葉飛見者哀。親親
Z15_0010B14: 絕知問。獨泣長夜臺。分少割甘者。居然脫此災
Z15_0010B15: 此文の意は人慳貪にして。財寶を人に不レハ。定て餓
Z15_0010B16: 鬼の苦を受。すすばな。つばき程の物を自在に食す
Z15_0010B17: る事なし。河に望めば災前に滿ち。親しき者も問助る

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