ウィンドウを閉じる

Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0006A01: 宮に召付られて罪の重き經きをただし。其に隨つて
Z15_0006A02: 獄率請取て鐵の繩を以て縛り頸を結。或は焦熱なん
Z15_0006A03: どに墮る罪人は。六千八百由旬の。さまざまの嶮しき
Z15_0006A04: 處處を責下して。行つきて尙禁を副て。又三十六億
Z15_0006A05: 由旬の下へ向て墮すなり。凡地獄におちて悲む事を
Z15_0006A06: ば不云。先地獄の聲を聞計に罪人の息絕。地に倒
Z15_0006A07: る。地獄の廣さ一萬由旬と云へるは。一億六萬里に
Z15_0006A08: 當れり。其中に大なる焰もゑ登れり。高さ八千里なり
Z15_0006A09: 況や地獄の中に墮て。大苦惱を受事を哉。是を略し
Z15_0006A10: て云は。此中の罪人は或は鐵の爪を以て互に其身を
Z15_0006A11: さき破る。然して血肉を灰砂の如になし。活れは亦
Z15_0006A12: 前の如にする事數を不知。或は鐵の二の山の中に入
Z15_0006A13: て責ひしぎ。或は臼に納てつきくだく事塵灰の如く
Z15_0006A14: なり。或は鐵の口ばしある犬馬虎狼集つて其身を破
Z15_0006A15: り食ふ。或は糞の中に沈て銅の口ばしある蟲其中に
Z15_0006A16: 充滿て罪人を喰ふ事。皮をうがちて肉に入。筋を斷
Z15_0006A17: て骨をとをす。或は鉾劍を以て。さまざまに裂切。
Z15_0006B01: 或は罪人を劒の林に追昇すれば。彼劒罪人に向て其
Z15_0006B02: 身を裂破る。加之手に取も足に踏も皆劒なり。或は
Z15_0006B03: 罪人の一一身の皮をはぎて。鐵のやけたる棚の上に
Z15_0006B04: 臥て。其皮をはぎたる身に。銅のわきかへる湯を一
Z15_0006B05: 一に灑ぐ。或は口をあけて銅の湯を入れば五臟六腑
Z15_0006B06: 燒破れて出ぬ。大方五體身分內外に少も安所なきを。
Z15_0006B07: 名付て地獄の罪人とは申す也。さけばんとすれ共さ
Z15_0006B08: けばれず。焰を口にをほせ舌に釘をうたれてあれば
Z15_0006B09: なり。迯んとすれ共可迯方もなし。一億六萬里の中
Z15_0006B10: にして東西見えねばなり。上には焰あがり。下には鐵
Z15_0006B11: の湯わきかへる地なり。時に隨つて毒の蟲雨の足の
Z15_0006B12: 如して降下れば。其に隨て焰いよいよ。さかりと成
Z15_0006B13: る。然るを獄率等。各鐵の杖と劒とを手に取て。罪人
Z15_0006B14: を呵責す彼獄率の姿は或は足手長して其身を驚し。
Z15_0006B15: 臂をいからし。眼をせからかす事電の如し。頭は馬牛
Z15_0006B16: に似て音雷の鳴る如し。色形其心世間に情なき者は
Z15_0006B17: 閻羅獄率に。しくはなく。恐しく堪がたき事は。地

ウィンドウを閉じる