浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| Z15_0004A01: | にして召問れん時は。何事によせてか叶はざりしと |
| Z15_0004A02: | 可レ申。只空き計にて過んだにも。實には恨みあり。 |
| Z15_0004A03: | 何に況や。よしなき名聞利養に耽り。造る罪併ら。 |
| Z15_0004A04: | 淨頗梨の鏡に浮ばむ時。可レ不レ耻哉。耻のみに非ず彼 |
| Z15_0004A05: | 苦み思ひ遣べし。功德の見ゑんには可レ不レ嬉哉。嬉き |
| Z15_0004A06: | のみに非ず。苦患を免れん事。悅び何事か如ンレ之ニ。人 |
| Z15_0004A07: | 又さすがに木石にあらねば。實をこのんで習ふに。 |
| Z15_0004A08: | 無レ不レ習レ。其故は暫の此世を渡る方便に。行末も知ぬ |
| Z15_0004A09: | 海底の鱗の名を指て取。或は空にかける姿も見せじ |
| Z15_0004A10: | と。雲にまぎるる翅なれども。手にすゑ音に隨へ。い |
| Z15_0004A11: | きざしを背ぬ程に仕フ人もあり。又物の色色折に隨ふ |
| Z15_0004A12: | 氣色振舞。事によりて事を計ひ。身を捨て人に替り。 |
| Z15_0004A13: | 耻を思へば。命を捨る。是のみならず。人の心深き |
| Z15_0004A14: | 事は。只世間の籌にあり。かかる惡の爲には賢きに |
| Z15_0004A15: | 如何が後世の爲には心の可レ愚哉。誰か不レ見して知。 |
| Z15_0004A16: | 不レ聞して覺處のあるべき。但勤はげまざる人の爲に |
| Z15_0004A17: | は非ず。然るに佛言世間出世のたがはざる事。譬は |
| Z15_0004B01: | 牛の二の角の如しと。云云世間の道理を不レ失を以。名 |
| Z15_0004B02: | 付て出世の理と云。仁王經取意又或文には善を修すれば福 |
| Z15_0004B03: | を蒙り。惡を好は禍を招と云り。實に惡人は事に逢。 |
| Z15_0004B04: | 或は病をも久き事をうけつれば。實の詮には逢人も |
| Z15_0004B05: | なく。亦長病には孝行の子なし。かかる惡人は親を |
| Z15_0004B06: | も背き。佛をも信ぜざればなり。經に曰。諸佛念衆 |
| Z15_0004B07: | 生衆生不念佛父母常念子子不念父母文。此の文の意 |
| Z15_0004B08: | は。父母は常に子を思ふ。子は親を不レ思。佛は衆生を |
| Z15_0004B09: | 思ふ。衆生は佛を不レ思と。のたまへり。哀なるかや。 |
| Z15_0004B10: | 佛を不レ思衆生。情なき哉。親を不レ思我等。實に數多 |
| Z15_0004B11: | の子を。はぐくむ人も一人の親をば不レ養。自不孝の |
| Z15_0004B12: | 子を恨る人も。親の大思をば知事かたし。凡惡人不 |
| Z15_0004B13: | 孝の者は終る所も定めなし。病苦をませども天衆地 |
| Z15_0004B14: | 類の愍みもなし。亦佛を不レハレ念。念佛の功もなし。亦 |
| Z15_0004B15: | 兼てより命終の時の敎へをも不レ習は。病の始より惡 |
| Z15_0004B16: | 道へ行べき相を顯して。旣終るときは。一のはげし |
| Z15_0004B17: | き風身に來れば。百の苦み其身に集る。されば心顚 |