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Z1510 孝養集 覚鑁 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z15_0004A01: にして召問れん時は。何事によせてか叶はざりしと
Z15_0004A02: 申。只空き計にて過んだにも。實には恨みあり。
Z15_0004A03: 何に況や。よしなき名聞利養に耽り。造る罪併ら。
Z15_0004A04: 淨頗梨の鏡に浮ばむ時。可耻哉。耻のみに非ず彼
Z15_0004A05: 苦み思ひ遣べし。功德の見ゑんには可嬉哉。嬉き
Z15_0004A06: のみに非ず。苦患を免れん事。悅び何事か如。人
Z15_0004A07: 又さすがに木石にあらねば。實をこのんで習ふに。
Z15_0004A08: 。其故は暫の此世を渡る方便に。行末も知ぬ
Z15_0004A09: 海底の鱗の名を指て取。或は空にかける姿も見せじ
Z15_0004A10: と。雲にまぎるる翅なれども。手にすゑ音に隨へ。い
Z15_0004A11: きざしを背ぬ程に仕人もあり。又物の色色折に隨ふ
Z15_0004A12: 氣色振舞。事によりて事を計ひ。身を捨て人に替り。
Z15_0004A13: 耻を思へば。命を捨る。是のみならず。人の心深き
Z15_0004A14: 事は。只世間の籌にあり。かかる惡の爲には賢きに
Z15_0004A15: 如何が後世の爲には心の可愚哉。誰か不見して知。
Z15_0004A16: 聞して覺處のあるべき。但勤はげまざる人の爲に
Z15_0004A17: は非ず。然るに佛言世間出世のたがはざる事。譬は
Z15_0004B01: 牛の二の角の如しと。云云世間の道理を不失を以。名
Z15_0004B02: 付て出世の理と云。仁王經取意又或文には善を修すれば福
Z15_0004B03: を蒙り。惡を好は禍を招と云り。實に惡人は事に逢。
Z15_0004B04: 或は病をも久き事をうけつれば。實の詮には逢人も
Z15_0004B05: なく。亦長病には孝行の子なし。かかる惡人は親を
Z15_0004B06: も背き。佛をも信ぜざればなり。經に曰。諸佛念衆
Z15_0004B07: 生衆生不念佛父母常念子子不念父母。此の文の意
Z15_0004B08: は。父母は常に子を思ふ。子は親を不思。佛は衆生を
Z15_0004B09: 思ふ。衆生は佛を不思と。のたまへり。哀なるかや。
Z15_0004B10: 佛を不思衆生。情なき哉。親を不思我等。實に數多
Z15_0004B11: の子を。はぐくむ人も一人の親をば不養。自不孝の
Z15_0004B12: 子を恨る人も。親の大思をば知事かたし。凡惡人不
Z15_0004B13: 孝の者は終る所も定めなし。病苦をませども天衆地
Z15_0004B14: 類の愍みもなし。亦佛を不レハ念。念佛の功もなし。亦
Z15_0004B15: 兼てより命終の時の敎へをも不習は。病の始より惡
Z15_0004B16: 道へ行べき相を顯して。旣終るときは。一のはげし
Z15_0004B17: き風身に來れば。百の苦み其身に集る。されば心顚

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